妄想にみんな巻き込め 吉野家CMOのマーケター論吉野家CMO兼グリッド社長 田中安人氏

――新しい吉野家とは。

吉野家の本質は1号店にある

「若手社員と幹部で複数のチームをつくり、2年かけて未来の吉野家を議論し、『人・健康・テクノロジー』というキーワードをまとめました。簡単にいうと、人が人らしくいるためにテクノロジーを使うということです」

「築地1号店では、お客さんは毎日同じ時間に同じ席に座るんです。何も言わずに。店長は1000人ぐらいのいつもの注文を覚えている。究極のサービスです。でも全世界の店長がそうできるわけではない。そこをテクノロジーで補うというのが我々の考え方です。1号店という原点に戻ると、本質が見つかるんですよね」

「そのために今やっているのがプラットフォーム作りです。YMA(吉野家マーケティングオートメーション)といい、将来は顧客の購買データや健康状況を読み取って『きょう、あなたにはこのスープがいいんじゃないですか』と提案するようなイメージです」

CMOは「社長の夢実現担当」

――マーケティングとは何でしょう。

「経営判断以外の全てです。たとえば商品開発がうまくいかないとき、私が営業と商品開発の間を取り持ったりします。組織論でいうと自分の仕事じゃない。でも商品を世の中に届けるのに必要ならやります。市場調査だけでなく、世の中に商品や企画を正しく到達させる作業は全てマーケティングです」

「CMOは、社長の夢実現担当だというのが私の考えです。広告・宣伝だけでなく、吉野家の本質をあぶり出す作業や人事コンサルみたいなことまでやるのは、そのためです」

――吉野家には改革が必要という強い意識を感じます。

「新卒で入社したヤオハンジャパンでは中国での百貨店事業など多様な経験を積みました。経営が破綻したのは、私が30代のときでした。その前年には、会社は『ゆでがえる』状態でした。もてはやされているうちに倒産した。私は社内でよく『気持ちいいときが一番やばいよ』と言っています」

「危機感を持つのは、大きく変化する未来をイメージしているからでもあります。外食に求められる価値は、20年先には変わっているでしょう。たとえば、吉野家はメーカーになっているかもしれない。マーケターはそこまで妄想を広げるべきだと思います」

田中安人
1989年、ヤオハンジャパン入社。広告制作会社を経て、2002年に広告代理店を起業。10年、マーケティング関連のコンサルティングを手がけるグリッドを設立。17年、吉野家CMOに。公益財団法人日本スポーツ協会のスポーツ広報委員も務める。

(安田亜紀代)

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