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外国人の口に合うSAKEで世界へ 南部美人の挑戦

世界で急増!日本酒LOVE(4)

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NIKKEI STYLE

岩手県二戸市で5代続く酒蔵、南部美人は世界36カ国・地域に輸出する日本酒のグローバルブランドだ。南部美人は約20年前から、本格的に世界展開に乗り出した。2017年には世界的なワインの品評会IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)のSAKE(さけ)部門で、「南部美人特別純米酒」が「チャンピオンサケ」を獲得するなど、「外国人の口にも合う日本酒」として注目されている。

日本酒を世界に広める啓発・普及活動が本格化したのは1997年。日本酒輸出協会による米ニューヨークでの日本酒イベントがきっかけだ。試飲してもらうと、非常に好評だったのだ。

南部美人の5代目蔵元・久慈浩介氏は「アメリカ人の日本酒の熱狂ぶりときたら、本当に驚きました。イベント後、参加した他の蔵元と『俺たちの日本酒は世界に通じるな』と確信しあった瞬間を今でも鮮明を覚えています」と振り返る。

それ以降、米ボストン・シカゴ、そしてカナダと日本酒イベントを各地で開催した。2010年に日本政府のクールジャパン・プロジェクトが動き出すと、海外での日本酒人気がさらに加速。今では米カリフォルニア州で日本酒の醸造セミナーを実施し、現地生産の支援まで手がけているという。

「海外での日本酒の生産には賛否両論あるようですが、私たちは酒造りの技術が海外に流出するとは思っていません。"酒屋万流"と言って、蔵元によって造り方が微妙に異なり味わいもそれぞれ違うので、ライバルが出現するわけではない。むしろ日本酒普及には必要だと思います」と久慈氏は語る。

久慈氏は日本酒の海外での普及をワインに例える。ワインのマーケット・ヒエラルキーの頂点には、ボルドーやブルゴーニュといった高級ワインが君臨する。同じように海外の日本酒マーケットの頂点として、日本で造った日本酒が富裕層などを中心に好まれているという。ワインに庶民的なブランドが存在するように、日本酒もカジュアルなシーンでも楽しめるようになれば、日本酒のマーケット自体が拡大すると考えているのだ。

海外で製造された日本酒は日本からの輸入品に比べて、関税や輸送コストなどが抑えられるので、リーズナブルな価格で楽しめる。そこを入り口にして、高級な日本酒も味わいたいというニーズにつなげるために「現地製造の日本酒のクオリティーも高めないと」(久慈氏)という。

ニューヨークの日本のとんこつラーメン店では、日本酒のカップ酒が楽しまれているほか、ニューヨーク・ブルックリン地区に作られた現地の酒蔵では、カフェ感覚で昼間から日本酒で乾杯する光景もみられるという。近ごろニューヨークに上陸した日本のステーキ店でも、ワインと同じくらい日本酒が売れている、と久慈氏は指摘する。

一方、富裕層の多いアラブ首長国連邦(UAE)のドバイでも、日本酒は重宝されている。中東はイスラム国家が多く、宗教上、アルコールは禁忌とされているが、五つ星以上のレストランなど限られたところに酒販免許を与えている国もある。ドバイでは現地の高級和食店などで日本酒が提供され、人気なのだという。

中でも富裕層が集まる高級ホテル「ブルジュ・アル・アラブ」では、南部美人の純米吟醸を同ホテルオリジナルの日本酒として提供している。ボトルのラベルもホテル名入りでオリジナルのものだ。また、世界的にも有名なドバイの和食レストラン「Zuma」では南部美人の10年古酒が1本(720ミリリットル)約30万円で提供されている。

また、ドバイを拠点とするエミレーツ航空や、UAEのアブダビを拠点とするエティハド航空では、ファーストクラスなどの機内食で南部美人を提供している。エティハド航空ではグラスではなく、銚子ととっくりで客に飲まれているという。南部美人は2006年から、毎年ドバイなどで試飲会を開催するなど地道な努力を続けており、現地ファンを増やしているようだ。

欧州でも日本酒は人気だ。フランスを訪れた印象を、久慈氏は「改めて日本酒は可能性だらけだと実感した」と話す。近年、フランス料理では、バターをたっぷり使ったクリームソースを使用した料理から、和食やイタリアンのような素材の持ち味を重視した軽めの料理に変化しているというのだ。

そうした料理にペアリングさせるシャンパンやワインのテイストも「日本酒寄り」に変化していると久慈氏は見る。「甘くて重いシャンパンが減って、軽めとか辛口が増えてきた」(久慈氏)こともあり、日本酒そのものが使われる可能性が高まっていると感じている。

では日本で、接待の席で外国人パートナーなどに、日本酒の魅力をどのように伝えたらいいのだろうか。久慈氏にポイントを聞いてみた。

まず、「日本人と外国人では日本酒へのアプローチ法が全然違う」とアドバイスする。接待される側が日本酒好きな日本人だと、酵母のことや製法(無ろ過など)をまず知りたがる。だが、外国人は(1)どんなコメを使っているかや、どんな蔵元なのか(ワインでいうテロワール情報)、(2)どんな料理に合うのか(ペアリング)をまず知りたがるという。このほか、環境への配慮はしているのか、なども注目する傾向がある。つまり、ワインと同じようなアプローチ法で日本酒を知ろうとするのだ。

「日本人は"酒の肴(さかな)"と言うように、酒メインの発想だが、外国人の発想は"肴の酒"と言える」(久慈氏)と、重視する順番が違うようだ。外国人に日本酒を説明する際は情報の優先順位を考慮し、料理とのペアリングや蔵元のストーリーなどから説明すると喜ばれることが多いという。

また日本酒好きな外国人は、和食ファンであったり、もともと日本ファンであったりする場合が多い。こういう人は大人になってから箸の持ち方からトレーニングして上手になったのだ。日本人には当たり前のことでも、「もし接待などで外国人が箸を上手に使っていたら、ちゃんと褒めてあげることが大事」と久慈氏は指摘する。

「お箸を上手に使われるなんて、(和食のテーブルマナーもしつけられた)ご両親がきっと素晴らしいのですね」と、本人より家族をほめると、特に喜ばれるという。

さらに大事なのは食事の最初の1杯だ。シャンパンで乾杯という店も少なくないが、それだとその後はどうしてもワインという流れになってしまいがちだ。一方、日本でも瓶内で2次発酵させたクリアなスパークリング日本酒のawa(あわ)酒を製造している。「和食店やすし店などでは特に、日本酒のawa酒で乾杯して、その後、様々な種類の日本酒を楽しむという流れを定着させたい。日本酒は国酒なのだから」と久慈氏は語る。

南部美人はこのawa酒に力を入れ始めている。2016年設立の日本awa酒協会は「世界中の乾杯を日本酒のawa酒に!」という活動をしている団体だ。awa酒を製造する蔵元で結成し、今年は15蔵元まで増えた。南部美人も参加しており、「SAKE COMPETITION」のスパークリング部門で、同社の「あわさけスパークリング」は2017年から2年連続で1位を獲得した。

日本酒の「未開の地」にいち早く日本酒文化を売り込み、市場を開拓し続けてきた南部美人。今後も、地道に日本酒を造り続ける蔵元の哲学を踏まえつつ、「世界中で日本酒がもっと愛されるようにまい進したい」(久慈氏)と意気込んでいる。

(GreenCreate 国際きき酒師&きき酒師 滝口智子)

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