グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

食の達人コラム

外国人の口に合うSAKEで世界へ 南部美人の挑戦 世界で急増!日本酒LOVE(4)

2018/11/2

2017年のIWCのSAKE部門で「チャンピオンサケ」を獲得した南部美人の久慈浩介氏(右から2人目)

岩手県二戸市で5代続く酒蔵、南部美人は世界36カ国・地域に輸出する日本酒のグローバルブランドだ。南部美人は約20年前から、本格的に世界展開に乗り出した。2017年には世界的なワインの品評会IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)のSAKE(さけ)部門で、「南部美人特別純米酒」が「チャンピオンサケ」を獲得するなど、「外国人の口にも合う日本酒」として注目されている。

日本酒を世界に広める啓発・普及活動が本格化したのは1997年。日本酒輸出協会による米ニューヨークでの日本酒イベントがきっかけだ。試飲してもらうと、非常に好評だったのだ。

南部美人の5代目蔵元・久慈浩介氏は「アメリカ人の日本酒の熱狂ぶりときたら、本当に驚きました。イベント後、参加した他の蔵元と『俺たちの日本酒は世界に通じるな』と確信しあった瞬間を今でも鮮明を覚えています」と振り返る。

世界各国で日本酒の普及活動にいそしむ(左が久慈氏)

それ以降、米ボストン・シカゴ、そしてカナダと日本酒イベントを各地で開催した。2010年に日本政府のクールジャパン・プロジェクトが動き出すと、海外での日本酒人気がさらに加速。今では米カリフォルニア州で日本酒の醸造セミナーを実施し、現地生産の支援まで手がけているという。

「海外での日本酒の生産には賛否両論あるようですが、私たちは酒造りの技術が海外に流出するとは思っていません。“酒屋万流”と言って、蔵元によって造り方が微妙に異なり味わいもそれぞれ違うので、ライバルが出現するわけではない。むしろ日本酒普及には必要だと思います」と久慈氏は語る。

久慈氏は日本酒の海外での普及をワインに例える。ワインのマーケット・ヒエラルキーの頂点には、ボルドーやブルゴーニュといった高級ワインが君臨する。同じように海外の日本酒マーケットの頂点として、日本で造った日本酒が富裕層などを中心に好まれているという。ワインに庶民的なブランドが存在するように、日本酒もカジュアルなシーンでも楽しめるようになれば、日本酒のマーケット自体が拡大すると考えているのだ。

海外で製造された日本酒は日本からの輸入品に比べて、関税や輸送コストなどが抑えられるので、リーズナブルな価格で楽しめる。そこを入り口にして、高級な日本酒も味わいたいというニーズにつなげるために「現地製造の日本酒のクオリティーも高めないと」(久慈氏)という。

ニューヨークの日本のとんこつラーメン店では、日本酒のカップ酒が楽しまれているほか、ニューヨーク・ブルックリン地区に作られた現地の酒蔵では、カフェ感覚で昼間から日本酒で乾杯する光景もみられるという。近ごろニューヨークに上陸した日本のステーキ店でも、ワインと同じくらい日本酒が売れている、と久慈氏は指摘する。

グルメクラブ 新着記事

ALL CHANNEL