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服は胸のサイズで選びたい アパレルブランド起業秘話

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NIKKEI STYLE

日経ウーマンオンライン

女性の「悩み」を解消してくれる商品やサービスは、どのようにして生まれたのでしょうか。胸のサイズで服を選ぶアパレルブランド「HEART CLOSET」(ハートクローゼット)。2015年に「122」を起業し、同ブランドを立ち上げた黒澤美寿希さんに、胸の大きい人が抱える悩みや、ブランドをスタートさせたきっかけなどを伺いました。

胸のサイズが合わなくて、オシャレを楽しめる服がない

女性同士であっても、同じ立場でないと共有しづらい悩みはあります。「胸が大きい」という悩みも、そのうちの一つではないでしょうか。

例えば、友人が大きな胸のことで真剣に悩んでいたとしても、自分が「胸の大きい女性は魅力的」という価値観を持っていれば、悪気なく「羨ましい!」という反応をしてしまうことがあるかもしれません。しかし悩んでいる本人にしてみれば、こうした「理解されづらさ」に直面することで、さらに悩みを深くしてしまうこともあるはずです。

胸のサイズで服を選ぶアパレルブランド「ハートクローゼット」を立ち上げた黒澤美寿希さんも、「胸が大きいことで似合う服がなかなか見つからない」という悩みを抱えてきた一人。まずは、胸が大きいことによって生じる悩みについて、詳しく聞いてみました。

「私は現在Iカップですが、以前から服選びには苦労してきました。というのも、洋服のサイズはS・M・Lの3サイズ展開が多いと思いますが、実はどのサイズであっても、胸の大きさは『Bカップ』を基準にして作られていることがほとんどなんです。

でも、これってよく考えたら不思議だと思いませんか? 女性は体がMサイズでも、胸はAカップの方もいればGカップの方もいます。ブラジャー自体は細かくサイズ展開されているのに、洋服に関しては、ほとんどBカップが基準になっているんです。

そのため、基準となっているBカップから離れれば離れるほど、『体のサイズは合っているのに、胸のサイズが合わない』という状態になります。私の場合も、このブランドを立ち上げるまでは、合うサイズの洋服がなくて困っていました。

オシャレをしたくても、できない。自由に選べる服がない。胸が大きい女性は、常にこうした悩みを抱えているんです」

◆黒澤さんの<欲しいをカタチに>ストーリー◆

<悩み>
・胸のサイズが合わず、おしゃれを楽しめる服に出会えない。サイズの合わない服は周囲から誤解を生むことも……。
<決意>
・胸を隠すための服ではなく、オシャレを楽しむための服が着たい。「無いなら、自分で作ろう」と決意
<現在>
・起業の不安はなし。でも、第三者に分かりやすく伝えることの難しさを感じることも。

周囲からの「誤解」で、さらに悩みが深くなっていく

一方、サイズの合わない服を着ていると、「意図せず周囲から誤解されることもある」と、黒澤さんは言います。

「例えば、私は体はMサイズですが、胸のサイズに合わせると、XLサイズの洋服を選ぶことになります。でも、XLサイズの洋服を着ると、肩回りや胴回り、着丈などが大き過ぎて、とても太って見える。

本当は標準体形なのに、胸以外の部分がブカブカな服を着ることによって、太って見えてしまう。胸が大きいことと太っていることは全く別の指標なのに、『胸が大きい=太っている』と勘違いされてしまう。これは女性にとって、とてもつらいことです。

だから、『太って見えるよりはいいかな』と思って、今度は体に合わせてMサイズの服を選ぶと、また別の問題に直面することになります。

例えば、シャツのボタンがはじけてしまったり、ボタンの隙間から下着が見えてしまったり。結果的に胸が強調されるシルエットになることで、周囲から『あえて胸をアピールしている』と勘違いされることもあります。

このように、どちらを選んでも何かを妥協しなければならなくて、さらに周囲から誤解されることによって、どんどん悩みが深くなっていくんです」

胸が大きいこと自体は、その女性のチャームポイントの一つ。でも、自分に合うサイズの服がないために、思いがけない誤解が生じ、そのことで傷ついてしまう――。こうしてじっくり話を聞いてみると、胸の大きな女性が、どれだけやり場のない気持ちを抱えているかが分かります。

「ハートクローゼットの服は、胸を隠すためのものではありません。オシャレを楽しむための服です。胸を隠すかどうかは、それぞれの女性の選択。望んで選択したことであれば、どちらを選んでもいいと思います。ただ、選択肢がないためにオシャレを楽しめなかったり、仕事などでTPOに合わせた服を着れないことによって、誤解されたり傷ついたりする状況はなくしていきたいんです。

私はハートクローゼットを立ち上げる前、26、27歳の頃に、ゲーム関連のグラフィック制作会社を起業したのですが、会社の代表としてオフィシャルな場に出掛ける際にも、TPOに合う服が見つからず苦労しました。

20代前半であれば、少しくらいTPOに合わない服を着ていても許されるかもしれませんが、20代後半になると、そうはいきません。『信頼』という観点から考えても、TPOに合う服は必要になってきます。

こうしたことが重なって、『だったら自分で胸が大きい人のための服を作ってみよう』と思うようになったんです」

そして黒澤さんは、2015年12月に新会社を設立。「胸のサイズで服を選ぶ」という、画期的なアパレルブランドを立ち上げました。

起業への不安は無し、苦労とは捉えない「強さ」と「潔さ」

ブランドの立ち上げを決意したとはいえ、アパレル業界は未経験だったという黒澤さん。「ためらいや不安はなかったのか」と尋ねると、「全くなかったです」という答えが返ってきました。

「既に1社起業していたので、起業や経営については、ある程度分かっていました。それに、もしも分からないことがあっても、信頼している人に相談すれば、助けてもらえる。そう思っていたので、業界未経験からの起業でも、不安や怖さはなかったですね」

さらに、自分自身がブランドのターゲットユーザーでもあるので、「どうすれば胸が大きい女性の悩みを解消できるのか」という点についても、アイデアはどんどん出てきたと言います。

「当事者としてずっと悩み続けてきたことだったので、自分の意見や感覚は大切にしています。もちろん、その気持ちや感覚を、論理的に説明できることは重要だと思いますが、グループインタビューなどで他の女性たちに話を聞いても、だいたい皆さん同じ意見なので、やはり自分が困っていることを解決するという視点は、すごく大事だと感じています。

だから試作品が完成すると、自分でも1日~2日その服を着て過ごし、長時間着ていたときに困ることがないかなどをチェックしています。ワンピースの裏地をなるべく長めに作っていたら、電車の座席に座ったときに裏地が見えてしまった……というようなこともあるので、試作品を着て日常生活を送ることは欠かせませんね」

こうして発売されたハートクローゼットの服は、日本だけでなく海外でも話題になったと言います。

「海外のメディアでも紹介されているようで、アメリカやニュージーランド、タイ、ベトナム、韓国など、いろいろな国から問い合わせをいただいています。『私も胸が大きいことで悩んでいたから、この服が欲しい』という場合が多く、同じ悩みを持つ女性は世界中にいるんだと実感しました」

同じ経験をしていない人に伝える難しさを実感

そして服が完成するまでの「苦労」について尋ねたときにも、「苦労はしていませんね」と明快な答えをくれた黒澤さん。

ブランドを立ち上げるに当たって、クリアすべき課題はあったと思いますが、それらを「苦労」とは思わない強さと潔さが、黒澤さんからは感じられます。

「苦労とは少し違うかもしれませんが、胸の大きい女性が抱える悩みや、その傷の深さを、第三者に分かりやすく伝えることの難しさは感じました。なぜなら私の胸は、私の体に365日・24時間付いているものなので、胸が付いていないときとの比較ができないからです。

胸が大きい女性の悩みや傷を解決するためには、ハートクローゼットのコンセプトや意義を、この事業に関わる方たちに理解してもらう必要があります。でも、同じ経験をしたことがない人に、どうやってブランドのコンセプトを伝えればいいのか。どう言語化すれば誤解なく伝わるのかという点については、今もとても気を使っています」

自分自身が悩んできたからこそ、分かることもある。でも当事者だからこそ、客観的な視点を持って第三者に伝えることが必要な場合もある。黒澤さんはその難しさを実感しつつも、バランスを取りながらブランドを進化させていきます。

「胸の大きい人が、『当たり前のように自由に服を選べる状況』に、さらに近づけていきたいと思っているので、これからの展開を楽しみにしていてください」

黒澤美寿希
 自身も胸が大きく、TPOに合わせた服選びに苦労した経験から、「122」を起業。胸のサイズで服を選ぶアパレルブランド「HEART CLOSET」(ハートクローゼット)を立ち上げ。同社の他にも、ゲーム関連のグラフィック制作会社「Ga-show」を経営。

(文 青野梢、写真 洞澤佐智子)

[nikkei WOMAN Online 2018年9月18日付記事を再構成]

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