2018/11/1

あくまでも自然体で臨めばいいのです。定年後の何よりの楽しみは人に指図されることなく、自由にできるようになったということなのですから。

早くからシニアライフのイメージを考える

では、一体なぜ多くの人がこうした「べき論」にとらわれるのでしょうか。私が考える理由は2つあります。1つ目は定年後の生活は初めての経験だということです。経験したことがないことに対しては誰でも不安な気持ちになるのは当たり前ですから、何かにすがりたくなるものです。結果として、誰かの成功体験を信じて自分も同じようにしたいと思いたくなります。

2つ目は自分がどんな生活をしたいか、何をやりたいのかを全くイメージしないまま定年を迎えてしまうことです。実際、多くの人がこのパターンに陥りがちです。

本来なら50歳を迎えた頃、遅くても50歳代の半ばぐらいから定年後をどう過ごしたいのか考えた方がいいと思います。自分なりの定年後のイメージを持っていれば、「べき論」に影響されることはありません。

定年になってから考えたのでは遅いとまではいいませんが、少しでも早くシニアライフをどうするかイメージしておいた方がより充実した生活が送れる可能性は高くなると思います。

会社員なら定年後お金に困ることはない

定年本の中には「老後破産」といった不安をあおるような表現も見られ、居ても立ってもいられなくなる人もいるかもしれません。しかしながら、これまでも主張してきたように、定年まで勤め上げた会社員なら国民年金に加えて厚生年金ももらえるのですから、老後の生活が困窮するということはないでしょう(詳しくは」など参照)。

老後は誰にも必ずやってきますが、会社員なら少なくともお金に困ることはないはずです。会社生活から解放されて、せっかく自由の身になったのですから、あるがままの自然体で過ごせばいいのです。

「べき論」に縛られてしまうと、本来はやりたくないことでもやらざるを得ず、無理をしてしまいます。そんな生活は楽しくないし、満足のいくシニアライフになるはずがありません。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は11月15日付の予定です。
大江英樹
 野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(共著、日経BP)など。http://www.officelibertas.co.jp/