週末レシピ 新鮮手作りマヨネーズが決め手、卵サラダ
最近のコンビニエンスストアは、オリジナルブランドのレトルト食品に力を入れている。「卵サラダ」もその一つだ。正直、初めて目にした時は驚いてしまった。ゆで卵をマヨネーズであえただけのものが、商品として成り立つのかと。
知人の独身中年男性に聞いたところ、人気のサラダチキンと卵サラダを夕飯として買うことがあると言う。中年男性としては体形や体調が気になるので糖質やカロリーに気をつけたいが、独身貴族としては何をどう調理してよいのかわからないので、手軽な商品を購入するとのこと。
コンビニだけではなく、スーパーでもレトルトの卵サラダが売られている。それぞれ、卵やマヨネーズの量、もちろん味にも違いはあるが、ゆで卵とマヨネーズを材料にしていることに変わりはない。今回は、マヨネーズを手作りし、濃厚な卵サラダに挑戦する。
まずは、マヨネーズ作りから。
<マヨネーズ:材料(手動で作りやすい分量)>
卵黄 2個 / マスタード 大さじ2 / 粉チーズ 大さじ1 / ハチミツ 小さじ1 / 白ワインビネガー 大さじ1 / レモン汁 大さじ1 / エクストラバージンオリーブ油 1カップ / 塩・白コショウ 各適量
(1)ボウルに卵黄、マスタード、粉チーズを入れて泡立て器で混ぜる。ハチミツ、ワインビネガー、塩、コショウを加えて、さらに混ぜる
(2)(1)のボウルに、オリーブ油を少しずつ垂らしながら、泡立て器でしっかりとかき混ぜる
(3)全体が白っぽくなり、ボテッとする程度のとろみがついたら、レモン汁を加える。塩・コショウで味を調えたらマヨネーズの完成
最初にしっかりと材料を混ぜ合わせておくことが、後の作業を楽にするポイントだ。通常はフレンチマスタードを使うが、今回は粒マスタードを用いた。
電動ミキサーがあれば、あっと言う間にできあがる。しかし手動で混ぜるには、油を乳化させる作業がかなりハードになる。そこで、多めのマスタード、粉チーズとハチミツを加えて濃度を増し、失敗を防ごうというわけだ。
できあがったマヨネーズは消毒した密閉容器に入れておくと、冷蔵庫で3日から1週間は保存が可能。それでは短すぎると思われるかもしれない。市販のマヨネーズでも、開封後は1カ月を目安に食べ切った方がよいとされている。我が家では500グラムのマヨネーズを買っても、1カ月では使い切れない。そこでその都度、マヨネーズを手作りしている。
新鮮なマヨネーズができあがったら、次は卵サラダを作る。
<基本の卵サラダ:材料>
ゆで卵 3個 / マヨネーズ 大さじ4 / 塩・コショウ 各適量
(1)ゆで卵を好みの大きさに潰す。マヨネーズであえ、塩・コショウで味を調える
たったこれだけなのだ。コンビニを往復する間に、仕上がってしまう。ともかくシンプルな材料なので、卵と油にはこだわってほしい。
卵サラダを存分に味わうには、卵ドッグや、卵サンドイッチが一番だと思っている。パンにマスタードバターを塗り、卵サラダをたっぷりとサンドする。食感のアクセントとして、キュウリを挟んでもよい。ただし、水っぽくなりやすいので、ペーパーなどで水気を取っておくこと。
さて、今回のメニューはこれだけではない。前出の独身中年男性から、「デパ地下のサラダって高いよね。200グラム買ったら、1000円札でおつりがちょっと。世の中の主婦は、いつもあんなに高価なサラダを食卓に並べているのか?」と、疑問を投げかけられたことがある。
せっかく濃厚な卵サラダをマスターしたのだから、次は、デパ地下の総菜にも負けない、おかずサラダを紹介しよう。
<デリ風卵サラダ:材料4人前>
基本の卵サラダ 2カップ / 生ハム 100グラム / ブロッコリー 100グラム / カボチャ 100グラム / サツマイモ 100グラム / ニンジン 100グラム / めんたいこ 1腹 / ミニトマト 数個
計量器がなければ、100グラムと記載されても困るだろう。だいたい、手のひらにのるくらいの量をイメージしてもらえれば、正確に量る必要はない。
(1)ブロッコリーを小房に分け、カボチャ、サツマイモ、ニンジンは皮ごと一口大に切り、塩ゆでする。生ハムを一口大に切る。めんたいこを焼いてほぐす
(2)すべての材料をざっくりと合わせてできあがり
おしゃれなサラダ総菜というだけではない。生ハムとめんたいこの塩気が程よく調和し、パンはもちろん、ご飯のおかずにもなる一品だ。
ところで、「ウフマヨ」というフランス料理をご存じだろうか。正式には「ウッフマヨネイズ」で、「ウッフ」はフランス語で卵。直訳すると「卵マヨネーズ」となる。材料も、卵とマヨネーズのみといたってシンプル。
では、日本の卵サラダとどう違うのか。実は、ゆで卵にマヨネーズを添えた、またはかけただけという、まるで料理とは思えない代物だが、これも正真正銘フランス料理なのだ。さすがに、レストランと名の付くような飲食店では登場しないが、ビストロレベルでは前菜としてメニューに載っている。一皿に2個のゆで卵とマヨネーズで、300~500円くらいが相場だろう。
ビストロと呼ぶよりも、日本語で食堂と言った方が合いそうな店に、日本から訪れた友人を連れて行った際に注文してみた。パリが初めての友人は、おしゃれなフレンチディナーを想像していたようだが、いきなりゆで卵とマヨネーズが登場して、少しすねているように見えた。ところが、一口食べてそのおいしさに目を丸くすると、すっかり上機嫌になった。
日本では、卵かけごはんとして食べられるような、鮮度のよい卵が一般にも流通している。諸外国で、生で食べられるような卵にはあまりお目にかかれない。そういった国で、新鮮な卵で作ったマヨネーズとゆで卵は、それだけでごちそうなのかもしれない。
基本のマヨネーズや卵サラダは、肉や魚のソースとしてもアレンジできる。豚のショウガ焼きや、鶏の照り焼きなどに添えてもよい。魚介類のフライや、焼いただけの魚にトッピングしても合う。新鮮なマヨネーズは、マヨラーでなくとも色々な料理にかけたくなるほどおいしい。いつもの料理のバリエーションが広がるので、是非トライしてほしい。
(世界料理探究家 T.O.ジャスミン)
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