ライフコラム

ヒットを狙え

地元の専門店・職人とコラボ 上野「ノーガホテル」

日経トレンディネット

2018/11/8

ロビーから続く吹き抜け空間には、オープンキッチンを備えた直営レストラン「ビストロ ノーガ ウエノ」とラウンジが広がっている。木やファブリックを多用し、ナチュラルで温かみのあるインテリアが印象的だ。大きな吹き抜けの中央には2階のライブラリー、テラス席へと続くスケルトン階段があり、より開放感が増している。

レストランは朝食からランチ、ディナーまで対応。。レストランとラウンジは宿泊者以外でも利用可能。地域との接点を増やし、コミュニティーの場に育てていきたい考えだ。

直営レストラン「ビストロ ノーガ ウエノ」はオールデーダイニングに対応し、宿泊客以外も利用できる
レストランの料理には、地域の専門店で取り扱う食材や調味料をはじめ、できるだけ自然な製法で作られたものを利用。朝食はブッフェかプリフィックスかを選べる

2階にテラス席を設けることで、ホテルのにぎわいが街中にも伝わるように工夫した
ノーガスイートのリビングスペースでも、イベントやワークショップが開催される予定

■自宅リビングのような居心地のよい客室

客室はダブル、ツイン、スイートなど130室。マンション物件を多く手がけるインテリアデザイナーによる客室は、ファブリックの軟らかさと木の温かみが感じられる落ち着いたデザイン。洗面台を室内に配置することで空間に広がりをもたせたほか、居住性にも配慮されているようで、自宅のリビングにいるような感覚になる。

ライフスタイル型ホテルのなかには客室が少なく、予約困難なものも多い。同ホテルは比較的規模が大きいのでその心配はなさそう。ただ、駅近の好立地なため、今後、外国人観光客を中心に人気が高まるのは必至だ。

台東区をはじめ全国の職人とコラボし、日常に使うプロダクトを製作する「シュロ」は、客室のハンガーや靴べら、ティッシュボックス、洋服ブラシなどをデザインした
くつろぎと落ち着きを感じられる柔らかいテイストのオリジナル家具は、タイム アンド スタイルが企画デザインし、日本各地の工場で製造された

■野村不動産がホテル事業に参入したわけ

首都圏を中心にマンションなど住宅事業を拡大してきた同社だが、ホテル事業への参入は大手不動産会社のなかでは最後発。今後も訪日客を中心に国内のホテル需要は増えることが見込まれるが、新規参入に踏み切った理由は何なのだろうか。

その背景について塚崎社長は、日本のホテル事情の変化を指摘する。「日本では、主に出張需要に対応するビジネスホテルが全体の8割を占める。その一方で、最近は自分の好みやこだわりに合った質を求めたり、滞在中の過ごし方を重視したりする動きが高まり、新たな価値観を持ったホテルが求められている」という。

事実、ここ数年、都内にはトランクホテル、ワイアードホテル、ザ・ミレニアルズなどが開業。地域との交流や体験、スタイリッシュなデザインに快適性を兼ね備えたコンセプトのライフスタイルホテルが注目されている。同社はこうした状況を捉え、人が集う場としてのホテルの価値に着目。マンションを核とした街づくりの実績を生かし、地域を巻き込んだホテルを開発することで、他社との違いを打ち出そうとしている。「開発後も30年、50年と長く自社運営することで、魅力的な街づくりにつなげていける」と塚崎社長。

今後は年間2、3店のペースで拡大していく予定。すでに秋葉原、六本木、京都にホテル用地を取得済みで、首都圏と関西以外にも出店する計画という。出店のカギは「地域で眠っている資源があり、それを掘り起こして街おこしにつなげていくこと」(ホテル担当者)。したがって、ウエノとは異なるデザインや取り組みのホテルになる可能性が高い。次の展開が気になるところだ。

(ライター 橋長初代)

[日経トレンディネット 2018年10月8日付の記事を再構成]

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