犬と猫は別設定 シャープ、ペット対応の加湿空清機
シャープは加湿空気清浄機の新モデル4機種を2018年11月15日に発売する。同社が掲げる、人工知能(AI)とIoTを組み合わせたビジョン「AIoT」に基づくクラウドサービス「COCORO AIR」と、「プラズマクラスター」の進化を反映した製品で、「人とペットに快適な空気環境」をアピールする。
なぜペットなのか? 空気清浄機の市場動向は、2012年度のPM2.5特需をピークに減少傾向にある。所有率を世代・年齢別に見ると、30~40代の若いファミリー世帯では高いものの、50代、60代と年齢層が高くなるほど低くなる。若い世代では、赤ちゃんや子供の健康への意識が高いが、高年齢層では関心が低くなるのがその理由だ。
一方で、高齢者層では、ペットの飼育率が高いという。しかも室内飼いが98%を占める。そこでペットに注目した。同社がペットの悩みに関して調査したところ、第1位は「室内の温度や健康」、2位が「ニオイ」という結果になった。1位の温度は、この夏の猛暑の影響も大きいだろう。新製品ではこの2点を解決する機能を搭載している。
ペットの種類に応じて運転
AIoTを活用しているのは、ペットの健康に影響する部屋の環境づくり。「ワンちゃんおまかせ運転」「ネコちゃんおまかせ運転」という犬と猫それぞれの特性に合わせた設定を用意。いずれも通常のおまかせ運転よりも風量を強めてプラズマクラスターと集じんを強化し、ニオイセンサーの感度を上げている。
加えて、前ルーバーの上下スイングが可能な「KI-JP100」と「KI-JX75」では、ワンちゃんおまかせ運転時は室温が高くなると前ルーバーをスイングして幅広く送風、ネコちゃんおまかせ運転時は室温が低くなると前ルーバーを閉め、風が直接当たりにくいように制御する。暑がりの傾向がある犬、寒がりの傾向がある猫にそれぞれ対応した。
また、ネコちゃんおまかせ運転では、猫が操作パネルの上に乗っても誤動作しないよう、チャイルドロックを促すように通知する。
スマホアプリでは、留守中のペットの状態も確認できる。人感センサーやニオイ、ホコリの発生状況から、ペットが排せつした、走り回っているなどの状況が分かる。また、部屋の温度が設定値から外れるとスマホに通知されるので、リモートでエアコンを入れるなどの対応が可能だ。
生活パターンを学習
ペット向け以外のAIoTの新機能としては、本体のセンサー情報やスマホの位置情報を基に生活パターンをクラウドで分析・学習し、運転を最適化するようになった。多くの家庭では、一度運転モードを設定した後はそのままになりがちだが、AIによって状況ごとにより効果的な運転モードに切り替わるのだ。
例えば、朝は照度センサーによって部屋が明るくなる時間やニオイセンサーによって朝食の調理時間を学習し、その時間の前にニオイセンサーの感度を高めておくことで朝食時に発生する臭いを先回りして消臭する。
日中であれば、人感センサーで外出時間を学習。外出を検知すると自動で加湿を切り、帰宅前に加湿をオンにする(人感センサーの搭載はフラッグシップモデル「KI-JP100」のみ)。
夜は、焼肉や鉄板焼きなど煙の多い料理が作られることが多い(PM2.5も多く発生する)夕食の時間帯を学習することで、食後もしばらくの間、風量を強めにし、プラズマクラスターイオンも強化して念入りに空気を浄化する、といった具合だ。
(ライター 小口覺)
[日経トレンディネット 2018年10月11日付の記事を再構成]
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