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看板見えないのに大行列 東京・大手町の隠れ家そば店

生卵や天かすなど、食べ方は各人の好みで

ちなみに「港屋2」では、こうした食べ方や片付け方などの指示やメモ書きは一切ない。客は周りの人を見習って、何となく同じように立ち振る舞っている。また日本の飲食店では当たり前の無料の「お冷や」も出てこない。喉が乾いたという人は、好きな飲み物を自分で用意して持ち込まなくてはならず、店内ではペットボトルの水やお茶を飲んでいる人を見かけた。

しかし食券の買い方を含めて、そうした事情についての事前通達がない。このため、一度行った客は店の「攻略法」を「学習」して、まだ行ったことのない友人に教えるようになるのだ。その不思議な店のありようから、「こんな面白い店があるの知ってる?」とどうしても友人や同僚に伝えたくなるため、強烈な宣伝効果で口コミが広がっていく。

「港屋2」が入店する「星のや東京」広報の服部清夏さんは「私ども『星のや東京』は旅館です。日本の旅館では昔から、サービスをお客さまのニーズに合わせず、旅館の女将などが自らお勧めしたいものだけをご提供してきました。あえて水も出さず、店主がおいしいと思うものだけを出し、自由に召し上がっていただく港屋さんのスタイルは共通していると思います」と語る。

分かりにくい外観に、メニューは「冷たい肉そば」1品のみ、お冷やはなし、そして食べ方はおまかせで自由。服部さんいわく「水だけでなくコーラを持ち込む方もいますし、そばをつゆにつけずに、丸ごとかける方もいます」とのこと。

至近距離に寄らないと見えない看板

楽しみ方は人によって色々だ。看板は見つけにくいし、昼のピークタイムに訪れると、行列は覚悟すべきだが、ここでしか味わえないそばの味と自由で不思議な飲食体験はぜひ挑戦する価値がある。そして一度訪れたら、必ず誰かに伝えたくなるはずだ。ただし営業は平日のみで「11時30分開店、売り切れ次第閉店」なので、その点だけ注意をしておきたい。

(フードライター 浅野陽子)


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