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看板見えないのに大行列 東京・大手町の隠れ家そば店

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NIKKEI STYLE

平日のお昼時、東京・大手町は近隣で働くビジネスマンや女性であふれている。そんな東京メトロ大手町駅すぐ近くの「大手町フィナンシャルシティ」に、ランチタイムに日々行列ができる。その先には、ちょっと見には看板が見当たらない、謎の店がある。大手町フィナンシャルシティの1棟、星野リゾートが運営する高級旅館「星のや東京」の入り口横で、静かに営業しているのが隠れ家的そば店「港屋2」だ。

行列に加わって店の前に並んでみても、星のや東京のシックな外観が続いているだけ。これが一体何の店なのか、まったく見当がつかない。行列がなかったらここに飲食店が存在することすら気づかないだろう。

目が慣れてくると、ようやく店の看板を発見。20センチほどの至近距離でないと私は読めないが、おしゃれにローマ字で「Minatoya2(港屋2、読み方はミナトヤツー)」とある。これが店の名前だ。

この「港屋2」は虎ノ門にある人気立ち食いそば店「港屋」のANNEX(アネックス)店という位置づけだという。虎ノ門と同じ「冷たい肉そば」(1000円、税込み)を提供するが、「港屋2」のメニューはこの1品のみ。「港屋」の店主の菊地剛志氏が独自に開発したものだ。ダイナミックな見た目と、粉の配合からこだわったというそばの食感、そしてラー油入りの甘辛いつゆの味が病みつきになると評判になり、虎ノ門の「港屋」は2002年の開業当初から繁盛し続けている。その人気を受けて2016年、星のや東京の開業とともに、この「港屋2」もオープンした。

さて、行列を進むと店の前にある券売機で食券を購入する。この券売機もちょっとトリッキーで、機械が受け付けるのは1000円札のみ。1万円札や5000円札、小銭しかない場合は使えないので、あらかじめ両替しておく必要がある。

順番が回ってきて、いよいよ入店。食券を渡すとカウンターでトレーに1人前を盛り付けてくれるので、客は自分で席まで運ぶ。席はここも虎ノ門の「港屋」と同様、バーのようなスタンディングスタイルだ。見渡すと店内には20人ほどの客が立って、そばをうまそうにすすっている。

トレーにのっているのは大盛りの肉そば、ラー油が光るつけつゆの器、そして生卵。盛り付けたそばの量が多いので、箸を差し込んだ瞬間にそばの山が崩れるほど。そして、そばを少したぐってすすると何ともおいしい! つけつゆは少し甘めだが、ラー油の辛みでうまく調和され、次々と口に運びたくなる、あとを引く味わいだ。濃厚だが大量に加えられた長ネギと、あっさりした豚肉とのバランスでしつこさを感じない。

そして何より、もちもちしながらも喉ごしが良くさっぱりしている、そばそのものの味が絶妙なのである。日本人がイメージする普通のそばをこのつゆとボリュームで食べたら、飽きてしまうだろう。しかしこの独特のそばの味わいがあるため、女性も完食してしまうのだろう。

ある程度食べ進んだら、生卵をつけつゆに割り入れて味変えを楽しむ。かけ放題の天かすを入れてもいい。カウンターの上にはポットに入ったそば湯もあり、最後に注いでつゆをすべて飲み干す人もいる。食べ終わったら、客が自分でトレーを片付ける。

ちなみに「港屋2」では、こうした食べ方や片付け方などの指示やメモ書きは一切ない。客は周りの人を見習って、何となく同じように立ち振る舞っている。また日本の飲食店では当たり前の無料の「お冷や」も出てこない。喉が乾いたという人は、好きな飲み物を自分で用意して持ち込まなくてはならず、店内ではペットボトルの水やお茶を飲んでいる人を見かけた。

しかし食券の買い方を含めて、そうした事情についての事前通達がない。このため、一度行った客は店の「攻略法」を「学習」して、まだ行ったことのない友人に教えるようになるのだ。その不思議な店のありようから、「こんな面白い店があるの知ってる?」とどうしても友人や同僚に伝えたくなるため、強烈な宣伝効果で口コミが広がっていく。

「港屋2」が入店する「星のや東京」広報の服部清夏さんは「私ども『星のや東京』は旅館です。日本の旅館では昔から、サービスをお客さまのニーズに合わせず、旅館の女将などが自らお勧めしたいものだけをご提供してきました。あえて水も出さず、店主がおいしいと思うものだけを出し、自由に召し上がっていただく港屋さんのスタイルは共通していると思います」と語る。

分かりにくい外観に、メニューは「冷たい肉そば」1品のみ、お冷やはなし、そして食べ方はおまかせで自由。服部さんいわく「水だけでなくコーラを持ち込む方もいますし、そばをつゆにつけずに、丸ごとかける方もいます」とのこと。

楽しみ方は人によって色々だ。看板は見つけにくいし、昼のピークタイムに訪れると、行列は覚悟すべきだが、ここでしか味わえないそばの味と自由で不思議な飲食体験はぜひ挑戦する価値がある。そして一度訪れたら、必ず誰かに伝えたくなるはずだ。ただし営業は平日のみで「11時30分開店、売り切れ次第閉店」なので、その点だけ注意をしておきたい。

(フードライター 浅野陽子)

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