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損害賠償で訴えられた 被告は欠席したら、負け確定? 弁護士 志賀剛一

2018/10/25

民事訴訟で弁護士を代理人として選任している場合、口頭弁論期日に当事者本人が出頭しないほうが普通だ
Case:43 今回の相談は自分のことではないのですが、芸能人が原告になって約3300万円の損害賠償などを求めている裁判で「被告は争う姿勢を見せたが公判を欠席した」というニュースを目にしました。「欠席裁判」という言葉もあるように、欠席したら負けてしまうのではないでしょうか。欠席したのにどうやって争う姿勢を見せるのでしょうか。また「訴訟が起こされた」というニュースの際、被告側のコメントは判で押したように「訴状を見ていないのでコメントできない」というような内容です。訴状を見ていないはずはなく、これは不誠実ではないでしょうか。

■口頭弁論は書面で準備

まず、細かいことですが、民事事件では訴訟を行う期日について「公判」という言葉は使いません。「口頭弁論期日」といいます。刑事事件では公判期日といいます。読んで字のごとく、口頭弁論というのは「口頭」で「弁論」を行うことを意味します。

もともと、日本の民事訴訟では原告と被告が口頭で主張と反論をしあっていたのですが、世の中の仕組みが複雑になるにつれて口頭では主張内容が理解しづらく、記録もできないことから、実際の口頭弁論期日では口頭による弁論は行われず、もっぱら事前に提出された書面に基づいて行われます。

民事訴訟法には「口頭弁論は書面で準備しなければならない」という自己矛盾のような条文が置かれています。民事事件では訴状や答弁書、準備書面などが事前に裁判所と相手方に渡されており、口頭弁論期日では「陳述します」と述べるだけで、これらの書面の内容を主張したことになるのです。

少し話が脱線しますが、裁判を傍聴に行った人が民事事件を傍聴しても「事件の内容がまったくわからなかった」という感想を持つことがしばしばです。これに対し、刑事事件は書面も併用されるものの、実際に内容や要旨が口頭で読み上げられるので、傍聴する人にはわかりやすいかと思います。

■第1回期日は訴状提出後、1~1カ月半先

原告となるべき者(地裁の通常事件では多くの場合、原告の代理人として弁護士がつくので、以後、弁護士がついている前提で話します)が訴状を作り、裁判所に証拠の写しなどとともに訴状を提出します。

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