慶応義塾大学で長年教授を務め、千葉商科大学では学長を経験した島田氏は、首都大を「学生も先生も職員も、みんな非常に真面目で優秀な人たちばかり」と高く評価する。実際、日本経済新聞などが18年に発表した大学の「研究の質」ランキングでは、首都大が東京大学や京都大学などを抑え、国内首位になった。研究の質は、学術論文の引用数に基づいており、若手教員が研究に専念できる場が整っていることが背景にあるという。日本の大学が財政的に厳しい状況に置かれるなか、後ろに都が控える首都大は「非常に恵まれている」(島田氏)。それが質の高い研究につながっている面もあるようだ。

島田氏は「学生も先生も職員も非常に真面目で優秀」と話す

ただ、民間出身の島田氏は物足りなさも感じている様子だ。「全体的におっとりしており、競争意識にやや欠ける。自己PRも不得手で、それが知名度の低さの一因でもある。自分たちのポテンシャルをフルに発揮しておらず、非常にもったいない」と指摘する。名称変更や海外のトップ大学との提携には、学生や教職員の大学への帰属意識や母校愛を高め、ひいては競争意識や自己主張の向上につながるとの期待もありそうだ。

キーワードは「G.O.S.」

島田氏は、小池知事から理事長に任命された際、「『G.O.S.をぜひやってください』と言われた」と明かす。

Gはグローバル化、Oはオンリーワン、Sはシニアを指す。特にシニアについては、都民の定年後の再就職や社会貢献活動に役立ち、生涯学び続けられる教育機関をつくってほしいとの要望があったという。

そこで首都大が19年4月に始めるのが「TMUプレミアム・カレッジ」(TMUは首都大の英語名の頭文字)だ。入学資格は50歳以上で、メインキャンパスである八王子市の南大沢キャンパスに1年間通い、ゼミ形式の授業などを受ける。初年度の募集人数は50人程度で、10月に募集も始めた。島田氏は「カルチャースクールではない、もっと本格的なカリキュラムになる」と話す。

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