雪印と明治のコーヒー飲料　買われるパッケージはどれ

人気パッケージの比較調査。今回の対象は、最近、スーパーやコンビニなどで目にするようになったリキャップ型容器のコーヒー飲料、明治の「明治 白のひととき ミルクコーヒー」（A）と、雪印メグミルクの「BOTTLATTE（ボトラッテ）カフェラテ」（B）。リキャップ型容器は、新しい形式の飲料ボトルで、2014年ごろから市場への導入が進んだ。衛生的で、持ち運びにも適しているほか、飲み口が大きく、運動後や、喉が渇いたときにもゴクゴク飲める点が支持されている。

「パッケージで選ぶならAとB、どちらの商品を買いたいか」（Q1）と聞くと、Aが50.3%、Bが49.7%で、Aのほうがわずかに人気だった。

「白のひととき」シリーズの「ミルクコーヒー」「抹茶ラテ」「バンホーテンココア」は18年6月にデザインをリニューアルした。それまでは、白を基調とし、ミルクコーヒーのイメージ画像と「ミルク好きのミルクコーヒー」というキャッチコピーで商品の特徴を伝えるデザインだった。新しいパッケージでは人物のイラストを採用し、文字情報を最小限にとどめ、直感的に「好きだ」と思ってもらえるデザインに変えた。

「甘いものを飲みながらゆっくりできる」というイメージを訴求するため、人物のイラストはくつろいだ雰囲気に描いた。パッケージの人物イラストは全部で13種類ある。イラストの内訳は、「ミルクコーヒー」で男性4種類、「抹茶ラテ」で女性4種類、「バンホーテンココア」で女性4種類、「バンホーテンココア」の大容量（860ml）で女性1種類だ。同じ「ミルクコーヒー」でも、ファッションや髪形が少しずつ異なるイラストが店頭に並ぶことになる。ドリンクのパッケージにこれほど多くのイラストを用意することは珍しい。

その狙いを明治の市乳営業本部市乳マーケティング部マーケティング2グループ・石井恵介氏は、「複数種類のイラストを用意することで、多くの人の琴線に触れるようにしたかった」と説明する。

Bの「BOTTLATTE カフェラテ」は、20～40代のオフィスワーカーや、デスクワークに集中したい人をターゲットにしたドリンク。ボトルのシルエットを取り入れたマークのデザインと、コーヒーがミルクと混ざり合うグラフィックに特徴がある。

Q1の調査では、AがBよりも0.6ポイント人気だった。男女別で見ると、男性全体ではAが54.0%、女性全体ではBが53.3%と、Aは男性、Bは女性の人気が高い。Aのパッケージの人物のイラストはメガネを掛けた男性。このイラストに多くの男性が自分の分身として好印象を抱いているようだ。またAは、男女共に20代からの評価が高い。支持率はそれぞれ男性20代が60.0%、女性20代が63.3%だった。

「パッケージから感じるイメージ」（Q2）を聞くと、Aは「ミルクの風味が良さそう」が81.0%、「リラックスできそう」が78.3%、「甘味が強そう」が76.7%、「口当たりが良さそう」が70.7%と続く。人物イラストの柔らかい雰囲気に好印象を抱いた人は多いようだ。

Bの場合は、「コーヒーの風味が良さそう」が88.7%、「香りが良さそう」が80.0%、「高級感がある」が79.7%、「品質が良さそう」が63.3%と続いた。リッチで品質の良い、本格的なコーヒーとしての訴求に成功しているようだ。味に関しては、Aは「ミルク」、Bは「コーヒー」と特徴が明確に認識されていることが分かる。

「通常のリキャップ型容器乳飲料が430mlで150円だった場合、Q1で選んだ商品がいくらまでなら買うか」（Q3）と聞くと、Aが＋11.9円、Bが＋14.0円だった。Bの高級感や品質が良いという印象は、この価格差にも反映している。

「どこを見て買いたいと思ったか」（Q4）を聞いた。Aは、「人物のグラフィック」が57.6%、「ボトルの色合い」が15.2%、「『明治 白のひととき ミルクコーヒー』のロゴ」が15.2%と続いた。全体の半数以上が「人物のグラフィック」を支持しており、なかでも男性の支持率が60.5%と高かった。

「男性の支持率の高さは意外だった。人物のイラストは、どちらかといえば女性に受け入れてもらいやすいと考えていた」と明治の石井氏は語る。

Bの場合は、「全体の色合い」が34.9%、「背景のグラフィック」が22.8%、「キャッチコピー『ミルクで味わう本格ラテ』」が13.4%と続いた。このキャッチコピーは女性人気が特に高く、Bのミルクのイメージを支持する女性が多いことが分かる。

（ライター　近藤彩音）

［日経クロストレンド　2018年10月09日の記事を再構成］