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四川より辛くて美味? 毛沢東も愛した辛ウマ湖南料理

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NIKKEI STYLE

トウガラシ使いが際立つ中国料理と言えば、まずイメージするのは四川料理だろう。代表料理である麻婆豆腐は、もはや日本料理と言っていいほどポピュラーだ。しかし、実は中国には四川料理よりも辛いとも言われる、トウガラシをふんだんに使う料理で知られた地方がある。中国南東の内陸部、湖南省だ。

中国には「四川人は辛いのを恐れず、湖南人は辛くないことを恐れる」という言葉があるほど。同省出身の毛沢東はトウガラシ料理が好物で、「紅焼肉(ホンシャオロウ、湖南の豚の角煮)とトウガラシがあれば生きていける」と話したという逸話もあるらしい。

この湖南料理を広めたいと今年6月、東京・三軒茶屋にオープンしたのが「湖南菜 香辣里(シャンラーリー)」。中華の名店として知られた「味坊」のグループ店だ。同店は味坊グループ5店目の店舗となるが、これまでの店はオーナーの梁宝璋(リョウホウショウ)さんの出身地、中国東北部の料理が中心で南部料理の専門店は初めて。

日本ではまだよく知られていない同国の地方料理を紹介していきたいと考える中、「辛さだけではなく、湖南料理には多くの特徴があり、日本に紹介しやすいと考えた。食材を発酵させる、薫製にする、ハーブ(香り野菜)を使うという3つの大きな特徴があって、これらをトウガラシの辛さで束ねたのが湖南料理なんです」と同グループのブランディング担当・小林淳一さんは説明する。

「麻辣(マーラー)」と呼ばれるサンショウを使い舌がしびれるような辛さが特徴の四川料理とは異なり、湖南の辛さは「香辣(シャンラー)」。辛い中にも、香りのよさ、味わいの豊かさがあるという。「使用するトウガラシはバリエーションに富み、辛みが強いものから苦いもの、甘くうまみが広がるものまで様々。ふわっと香りが立つトウガラシが多く、花のような香りがするものもあるんです。生や乾燥物を使うのはもちろん、発酵トウガラシも調味料として使います」(小林さん)。

温暖・多湿で発酵食品を作るのに適した気候の湖南省では、トウガラシだけでなく様々な食材を発酵させる。ダイズを塩水で発酵させた「水豆鼓(シュイドウチ)」は湖南版納豆。納豆のような香りがするものの糸は引かず、「これをご飯にのせて食べると最高」と小林さんが見せてくれた現地の写真には、水豆鼓をトウガラシ、ニラ、葉ニンニクと一緒にいためた料理があった。使われるトウガラシは「小米辣(シャオミーラー)」と言い、湖南料理に使われるトウガラシの中では最も辛いタイプらしい。

もっとも、ザ・湖南の発酵料理とも言うべき一品は、「臭魚(チョーユィー)」。現地ではどの店にもあるような代表料理だ。塩をベースとした液に漬け発酵させた白身魚を使う。内陸である湖南では主に貴魚(グィユィー)と呼ばれる淡水魚を用いるが、「当店で使う、10日から2週間ほど漬け込んだ自家製の発酵魚は海の魚。日本で手に入りやすいだけでなく、おいしく仕上がるんです。特に(北海道などで高級魚と言われる)ソイが、この料理に圧倒的に合う。発酵した後のうまみの品がとてもいいんです」(小林さん)。

魚は表面を一度焼いてから、生トウガラシをのせ、発酵トウガラシを使った調味液と一緒に蒸し上げる。クロソイを用いた同店の臭魚を食べると、真っ白な身にはふっくらと張りがあり、トウガラシの辛さが魚のうまみを引き立てていた。

魚肉のうまみをたっぷり吸ったトウガラシの効いた調味スープを、ビーフンにからめたりご飯にかけたりして楽しむお客も目立つという。ちなみに同店で使用するご飯は、コメどころである現地同様の長粒の香り米だ。「トウガラシ料理はワインと合いにくいものですが、『臭魚』などはうまみが強いのでロゼやしっかりした白ワインとすごく合いますよ」と小林さんは薦める。

一方、香り野菜の使い方が特徴的な料理として紹介してもらったのは、山羊肉料理。とろとろになるまでゆでた皮つきの山羊肉をかりっと揚げ、みじん切りにした様々な香味野菜をのせた一品だ。発酵トウガラシをはじめ、生トウガラシ、ラッキョウなどをトッピング。仕上げにレモングラスのような香りの木姜子(ムージャンズ、ヤマコショウ)で香りづけをしている。

箸でほろっとほぐれるほど軟らかい肉を口にすると、こうばしさと共に野菜の複雑な香りが鼻をくすぐる。ダイズを発酵させた調味料、豆鼓(トウチ)も使われているためか、ほんのりとした甘味も。豆鼓は黒豆を使ったものがよく知られるが湖南では黄豆を用いる。山羊肉は臭みが強いと思っていたのだが、同店で使用していたオーストラリア産の肉はむしろあっさりと優しい味わいだ。現地では、この料理にたっぷりミントをのせて食べたりもするらしい。

ミントは湖南では最もポピュラーな香り野菜の一つで、ビーフン屋といった軽食店にも客が自由にトッピングできるよう置いてあったりするという。3つめの特徴である薫製食材を使った料理としては薫製豚バラ肉のチャーハンが出てきたが、これも現地ではミントやドクダミが入っているものもあるといい、小林さんが「湖南料理は『ハーブ中華』なんです」と言うのも納得。

チャーハンはトウガラシ料理ではなく、「老油(ラオユー)」というたまりじょうゆを使った薄茶色のコメ料理で、これが湖南の定番チャーハン。薫製豚が香りや味わいに深みを加えていた。「ヤギ肉料理の香り野菜をチャーハンにのせて食べてもおいしいですよ」と言う小林さんの言葉に、思わずさらにご飯をほうばる。野菜の味わいやトウガラシの辛さが加わり、「もう一口」と後を引くおいしさだ。

トウガラシを使った中国料理というと汗をかきかきがっつり食べる男性的なイメージがあったが、同店のトウガラシ料理は辛みを感じても後味は爽やか。客の8割は女性というのもうなずける。初めて中国で湖南料理を食べたのは10年以上前。上海で食べたそれはとにかくトウガラシの量に驚いたものだが、辛さの向こうにある奥深さを初めて知った。気が付けば、都内にも湖南料理の店をちらほら見かけるようになっている。辛さを楽しむ料理の幅がまた一つ広がりそうだ。

(フリーライター メレンダ千春)

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