投信評価で注目の指標 インベスターリターンを検証QUICK資産運用研究所 高瀬浩

写真はイメージ=123RF
写真はイメージ=123RF

投資信託を評価する指標として「インベスターリターン(IR)」と呼ばれる指標が注目されている。金融庁が銀行29行で3月末時点に投信を保有していた顧客の46%が損失を抱えていたと公表したのがきっかけだ。この調査は顧客がすでに投信を全て売却したときの利益や損失を含んでおらず、議論を呼んだが、IRは売却も反映したリターンとして注目度が高まった。投信は通常、基準価格の騰落によるリターンで評価される。IRはどう違うのか、両者に関連性はないのか――。主要ファンドについて検証した。

IRは投信を実際に購入もしくは売却した投資家の平均的リターンを示す。投信の設定来や10年、1年など一定期間の間に売買した不特定多数の投資家全員の損益率を平均化して年率表示する。

これに対して「通常のリターン」は投信の基準価格の一定期間の騰落率であり、投資家の実際の売買とは無関係に計算される。ファンド運用者の腕前の比較評価に使うのは通常のリターンの方だ。

IRはお金の出入りの影響を反映して計算

両者はどう違うのか。まずはIRの考え方と計算方法の概略を確認しておこう。IRは金額加重収益率や内部収益率と呼ぶこともある。最大の特徴はお金の出入りについて、投資リターンに対する影響を反映して計算する点だ。

例えば、相場が上昇する局面を考えよう。上昇直前に多くの資金が流入すると、資金流入がなかったときに比べIRは高くなる。値上がりの影響を受ける投資家の資金量が多いためだ。逆に資金が流出した後に価格が上昇すると、資金流出がなかったときに比べIRは低くなる。

同じように、相場が下落する局面ではこうなる。下落直前に多くの資金が流入すると、資金流入がなかったときに比べIRは低くなる。一方、資金が流出した後に価格が下落すると、資金流出がなかったときに比べIRは高くなる。

IRの低い投信の典型例は、資金流入が多い時期に価格がピークとなり、その後大きく値下がりしてしまうパターンだ。これは投資家サイドから見ると、多くの投資家が「高値づかみ」で投信を購入し、損を抱えてしまう状態を指す。

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし