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投信評価で注目の指標 インベスターリターンを検証 QUICK資産運用研究所 高瀬浩

2018/10/24

投信では不特定多数の投資家の資金の出入りが毎日のように発生するので、IRを計算するには日々の資金流出入額を使用する。日次ではなく月次の資金流入額の推計値を基にして計算したり、分配金を現金で受け取らず、再投資したとして計算したりするのが一般的だ。いずれにしても、正確な数値とは限らず、概算推計値といえる。

■通常のリターンと高い相関関係がある

それでは、通常のリターン(年率)との関係はどうなのか。それを探るため、実際の投信について10年間のインベスターリターンを計算し、通常の10年リターンとの関係を調べてみた。

グラフAは純資産残高が大きい日本株ファンドについての両者の関係を示したものだ。全般的な傾向として、通常のリターンが大き(小さ)ければ、IRも大きい(小さい)というように、両者には高い相関関係があるのが分かる。IRは投資家が高値づかみをすると低下し、それを回避すると高まるが、それ以前に通常のリターン自体の影響を強く受けるということだろう。

例えば、アクティブ(積極運用)型ファンドの中でIRが最も高いのは「MHAM新興成長株オープン」(アセットマネジメントOne)の22.3%。同ファンドは通常のリターンも21.2%と最大だ。インデックスファンドでは「ニッセイ日経225インデックスファンド」(ニッセイアセットマネジメント)のIRが12.8%と最大で、通常のリターンも9.6%とインデックスファンドでは最も高かった。

積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の対象ファンドでも両者は高い相関関係がある。表Bは日本株など主な投資対象別に1年間のIRが大きい順に並べたものだ。多少の差があっても、通常のリターンが高いほどインベスターリターンも高い傾向が見て取れる。

特に過去1年では日経平均株価連動や米国株指数連動のインデックスファンドを売買した人のリターンが総じて高かったのが分かる。

積み立て投資が主体のファンドのIRは高い傾向がある。ある時期の確定拠出型年金(DC)専用ファンドとそれ以外のファンドのIRを平均集計して比較すると、DC専用の方が上回ったという調査結果もある。

■個々の損益は「トータルリターン通知」で把握

ただし、IRは不特定多数の投資家の平均リターンなので、実際のところ、個々の投資家の損益には大きなばらつきがある。投信販売会社は「トータルリターン通知制度」により、投信保有者に損益データの通知を義務付けられており、個人が自分で売買した投信の実際の損益状況をおおむね把握することが可能だ。

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