アジア映画1位は『新感染』 韓国発の泣けるゾンビ
アジア映画の人気作には、恋愛ストーリー中心だったドラマとは大きく異なる作品が並ぶ。動画配信サービス「U‐NEXT」のレンタルランキングで1位の『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、日本でも大ヒットを記録した韓国初のゾンビ映画だ。
『新感染 ファイナル・ エクスプレス』は高速鉄道車内で起きた感染により、次々とゾンビ化する乗客同士のサバイバルを描く。家族愛の描写が「泣けるゾンビ映画」と評判を呼んだ。「視聴者は約6割が男性。『新感染』以外に、『IT/イット "それ"が見えたら、終わり。』や『ジョン・ウィック』などのハリウッド作品を視聴するような映画ファンに人気」(同社)だという。『新感染』は、レンタル開始間もない2018年2月の映画総合レンタルランキングでも3位に入った。アジア映画の枠を超えて、幅広い層に視聴されている。
他にも、韓国映画ではアクション映画『悪女 AKUJO』(7位)やエロティックサスペンスの『お嬢さん 劇場公開版』(9位)、ホラーサスペンスの『哭声/コクソン』(14位)など多岐にわたるジャンルの作品が上位に入った。
ランキングトップ5のうち3作品を中国映画が占めたことにも注目したい。2位の『スキップ・トレース』は、日本でも圧倒的な認知度を誇るジャッキー・チェンの主演作。次いで3位『西遊記2 妖怪の逆襲』、5位『悟空伝』と、日本人にもなじみの深い"孫悟空"が主役の2作品が後を追う。近年、中国映画産業は世界第2位の規模を誇り、『西遊記2』は中国での興行収入が265億円、『悟空伝』も100億円超えを記録している。
面白いのが、17位のアクション・ファンタジー『レジェンド・オブ・パール ナーガの真珠』だ。日本では単館劇場主導の映画イベントで数回上映されたのみ。関心を持つが見られなかったという人々に動画配信が受けているようだ。
韓国のスターが人気
ドラマと同様、人気スター出演作もランクインしている。20位の『MASTER/マスター』は、日本でも知られる韓国俳優イ・ビョンホンが極悪非道な詐欺師を演じたクライムアクション。16位『ミス・ワイフ』の主演俳優であるソン・スンホンも、ドラマ『秋の童話』(02年日本初放送)でイ・ビョンホン同様、韓流ブームを初期からけん引してきた人気俳優だ。
それ以降のスター俳優が出演するのが、15位の『シチリアの恋』。中国作品ながら、韓国人気俳優のイ・ジュンギが主役を務める。イ・ジュンギの主演作は、ドラマ見放題ランキングでも5位(『麗〈レイ〉』)にランクインする。
ドラマと比べるとK‐POPアイドルの出演作はあまり多くない。13位の『あの日、兄貴が灯した光』は、「EXO」のメンバーであるD.O.(ディオ)が主演。いわゆるアイドル映画とは一線を画した、兄弟の絆を描いたヒューマンドラマだ。
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2018年10月号の記事を再構成]
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