アジアドラマ『青い海の伝説』1位 切ない恋愛が人気
アジアドラマと言えば、かつて韓国ドラマ『冬のソナタ』や台湾ドラマ『流星花園~花より男子~』(いずれも日本初放送は2003年)などが空前のブームとなった。以降もレンタル店や動画配信サービスでは人気ジャンルの1つとして定着。人気を集めるのは切ない恋愛もので、設定のバリエーションが豊富になったのが近年の傾向だ。
アジアコンテンツが充実する動画配信サービス「U‐NEXT」のランキングから人気作品の傾向を探った。参考にしたのは、作品ごとの課金によるレンタル(TVOD)と、月定額見放題(SVOD)の2形態の18年上半期ランキング。レンタル対象作品は比較的最新作が多く、見放題対象は名作・人気作が含まれる。
「レンタル」「見放題」共に特徴的なのが、恋愛作品の多さだ。レンタル1位『青い海の伝説』は、天才詐欺師と都会に生きる人魚の切ない恋を描いた作品。見放題1位『W -君と僕の世界-』は、マンガの世界に入り込んだヒロインとマンガの主人公と恋に落ちるストーリーで、いずれも"キュンキュン"する要素が満載だ。
恋愛作品は"冬ソナ"時代から人気だが、近年は設定のバリエーションが豊富。レンタル2位『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』は純粋な中年男性と若い女性の"年の差"恋愛、4位『雲が描いた月明り』は皇太子を相手にした時代劇。そのほか、恋の相手は宇宙人だったりと、ありとあらゆる設定がそろう。
U‐NEXTによると、冬ソナ時代からの長年の韓国ドラマファンに加えて、近年では10代・20代の視聴者も増えているという。見放題2位『太陽の末裔 Love Under The Sun』の視聴者で最も多い年齢層は20代前半。「SNSで話題になった『太陽の末裔』目当てでU‐NEXTに新規登録した若い世代は、韓国ドラマ以外も見ている。若い世代は、SNSなどで"面白い"と評判になれば、韓国ドラマということにこだわらずに視聴しているようだ」(同社)。
K‐POPアイドル出演作も人気
日本では恋愛作品の人気が根強いが、韓国では近年、医療現場や法廷を舞台にした社会派ドラマも増えている。レンタル9位『ボイス~112の奇跡』は、その代表例の1つ。韓国警察の緊急通報センターを舞台に、主人公である刑事が連続殺人事件の真犯人を追うサスペンスドラマだ。ただし、「まだ日本では硬派な作品はハードルが高い印象。本国では重厚でシックな大人向けのメインビジュアルを打ち出している作品でも、日本では恋愛要素を感じさせるテイストに変えることもある」(同社)という。
恋愛以外では、歴史作品も人気。レンタルランキングにランクインした中国ドラマの2作品『王女未央 ‐BIOU‐』(15位)と『ミーユエ~王朝を照らす月~』(19位)は、いずれも歴史上の人物を扱った大河ドラマだ。
かつての韓流ドラマブームにはペ・ヨンジュンやイ・ビョンホンなど、ドラマ発のスター俳優がいた。今人気の1人は、見放題1位『W』と9位『ピノキオ』などに主演するイ・ジョンソク。見放題14位『THE K2~キミだけを守りたい~』と16位『ヒーラー』に主演のチ・チャンウクは"アジアの貴公子"の異名を持つ。ランキングに3作が入るナム・ジュヒョクも人気急上昇の若手だ。
韓国ドラマには、K‐POPアイドルも多く出演作している。レンタル12位『恋するパッケージツアー~パリから始まる最高の恋~』の主演は「CNBLUE」のジョン・ヨンファ、見放題14位『THE K2』では少女時代のユナがヒロインを演じる。レンタル3位の『花郎(ファラン)』では、「SHINee」のミンホと「防弾少年団」のVというトップアイドル同士の共演が話題になった。
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2018年10月号の記事を再構成]
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