キヤノンもフルサイズミラーレス 新マウントに期待大
ニコンに続いてキヤノンからもフルサイズ(撮像素子が35mmフィルムと同じ大きさ)のミラーレス一眼カメラが登場する。その名は「EOS R」。RFマウントという新たなレンズマウントを採用、3030万画素CMOSセンサー、映像エンジン DIGIC 8、バリアングル式モニターなどを備え、2018年10月25日に発売予定となっている。ヨドバシカメラにおけるボディーの予約価格は税込み25万6500円。ニコンで言えば11月発売予定のZ 6に相当する(Z 6のボディー予約価格は税込み27万2700円)。
大口径の新マウントで対応レンズも4つ登場
RFマウントの口径は54mmと従来のEFマウントと同じだが、マウント面と撮像素子との距離であるフランジバックは44mmから20mmへと大幅に短くなった。フランジバックが短くなるとレンズの設計の自由度が飛躍的に高まる。これがレンズと撮像素子との間のミラーがなくなったミラーレスのメリットだ。今後いっそう高性能、高描写なレンズ群が登場することを期待したい。きっと今までのEOS画質を超える写真を誰でも撮れるようになるだろう。
EOS Rと同時に4つのRFマウント対応レンズが発表されている。「RF24-105mm F4 L IS USM」、「RF28-70mm F2 L USM」、「RF50mm F1.2 L USM」、「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」の4つで、どれもなかなかのスペックだ。
RFマウントのレンズには「コントロールリング」という新しい機能があるのも面白い。カメラ側の設定で、絞り・シャッタースピード・ISO感度などに割り当てられる。例えば絞りに割り当てれば、レンズのリングを回すだけで絞りの値が変えられる。
今までの「EFレンズ」をEOS Rで使用可能にするマウントアダプターも複数用意されている。EFレンズの機能をそのままEOS Rで使用できる標準的なアダプター「マウントアダプター EF-EOS R」に加え、コントロールリングを備えた「コントロールリング マウントアダプター EF-EOS R」、さらに円偏光フィルター付きの「ドロップインフィルター マウントアダプター EF-EOS R ドロップイン 円偏光フィルター A付」、可変式NDフィルター付きの「ドロップインフィルターマウントアダプター EF‐EOS R ドロップイン 可変式NDフィルター A付」がラインアップされ、一眼レフからの移行が容易に行えるように配慮されている。
ボディー内手ブレ補正は非搭載
持ちやすい大型グリップが特徴的なボディーは、デジタル一眼レフ「EOS」シリーズと、APS-C(撮像素子がAPS-Cフィルムと同じ大きさ)のミラーレス一眼「EOS M」シリーズが融合したイメージだ。カメラ上部の向かって右側にはスクエアな情報表示パネル、モードボタンとサブ電子ダイヤル、動画撮影ボタンを備え、左側には電源スイッチのみが存在する。使用メディアはSDカード(シングルスロット)で、ボディー内手ブレ補正機能は非搭載だ。
気になるセンサーはキヤノン製有効画素約3030万画素35mmフルサイズCMOSセンサーだ。これは「EOS 5D Mark IV」とほぼ同等のスペックになっている。映像エンジンはDIGIC 8となり常用ISO感度40000を達成。クリーンで低ノイズな写真を提供してくれる。
高性能・多機能なオートフォーカス
オートフォーカスは定評あるデュアルピクセルCMOS AFを搭載。高速かつ正確なピント合わせが可能だ。また測距可能エリアも最大約88%(横)×約100%(縦)の広範囲となっている。暗所でのオートフォーカス性能も売りの一つで-6EV対応(EV値が小さいほど暗いところでオートフォーカス可能)となっている[注]。
[注]F1.2レンズ使用時、中央部測距のみ
またポートレート撮影時に、人の目に焦点を自動的に合わせる「瞳AF」も搭載。「ボケ」を大きく出すために絞りを最小値にするとピントがとてもシビアになるが、そういうときでもしっかりと瞳にフォーカスできるはずだ。またファインダーをのぞいたまま右手親指で、バリアングル液晶を触ってピント位置を調整できる「タッチ&ドラッグAF」も用意されている。パソコンのタッチパッドのように、液晶を触りながら指を動かすことでピント位置を変えられる。
操作系では新たな「マルチファンクションバー」を接眼部右に搭載した。タップとスライド操作が可能なミニタッチパネルという印象だが、オートフォーカス、ISO感度、ホワイトバランス、動画撮影、ピント確認などの撮影設定や画像送り、機能ショートカットを割り当てられる。ややクセがあり慣れが必要だが、うまくカスタマイズして使いこなせれば撮影が楽になるかもしれない。
Fv(フレキシブルAE)モードという露出モードも新搭載されている。このモードはシャッタースピード、絞り、ISO感度を自動設定(AUTO)にしたり、自分で好きな値にしたりできるもので、従来であれば「絞り優先」とか「シャッタースピード優先」などモードを変更してから他のパラメーターを設定しなければいけないところが、モード間を行き来することなく自在に各設定を十字キーなどで変更可能だ。これも習熟すれば撮影がラクになるに違いない。
次のページでは作例を紹介するが、出荷前の評価機を使ったもののため、参考として見てほしい。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影している。2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。http://sasurau.com/
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