若手芸人の登竜門として注目されている『ぐるナイ おもしろ荘』(日本テレビ系)。今年7月にオンエアされた生放送スペシャルで、6万票近い視聴者投票を獲得して1位に輝いたのが、川合翔太と荒木好之のお笑いコンビ、クロコップだ。

2人は空手着姿で「♪空手家の私は7人の子。1人は茶帯であとは黒」と「アブラハムの子」の替え歌を歌いながら空手の動きを見せ、徐々に空手から大きく脱線していく「空手家の子」のネタを披露。スタジオを沸かせただけでなく、子どもでも楽しめる歌ネタということもあり、お茶の間の評価を得た。
優勝後の反響については「びっくりしました。こんなにいろんな人から連絡が来るんですね」と川合。荒木は「SNSでは『うちの子がマネしてます』みたいな反応が多かったなかで、本物の空手家さんだけは怒ってました。『あいつに黒帯は早い。型が甘い』って(笑)」と振り返った。
コンビ結成は2013年4月。中学の同級生で、お笑い好きの友人同士だった。当時2人が好きだったテレビ番組は『爆笑オンエアバトル』と『内村プロデュース』。「地元が大阪なので東京の芸人さんの笑いが新鮮でした。大喜利一つ取っても東京はツッコミの人がハリセンでたたかない(笑)。内村さんが笑っているだけの大喜利とか最高だなと」(荒木)
共に芸人になる夢を抱きながらも、別々の高校に進学した。その後、荒木は松竹芸能タレントスクールに進み、大阪でピン芸人「リアルファイト荒木」として活動。一方、川合は大学を出て、表舞台に立つ道を模索しながらもんもんとした日々を過ごしていた。そんな2人が友人の結婚式で再会して意気投合。そろって上京し、お笑いコンビを結成した。
ネタを考えるのは格闘技好きの荒木。川合は「僕はほぼ意見を言わないです。パソコンで音を編集するのが主な役割」。代表作となった空手家のネタは「今年の1月にできたネタで、ライブでもウケ方が今までとケタ違いでした。他事務所のマツモトクラブさんまで褒めてくれました」(荒木)。毎月3本の新ネタを披露するライブを2年半やってきて、「結果が出たのがあの1本でした」(川合)。
現在はコントライブを中心に活動しているが、『キングオブコント』のような大きな賞レースではなかなか勝てないという。その理由は「賞レースは決勝戦のネタ時間が4~5分。それに対して僕らは2分半くらいのネタしか作れなくて。どうしても冒頭にオチがあって逃げ切るようなネタばかりになってしまうのが課題です」(荒木)。
『おもしろ荘』で優勝したことで今後の露出に期待がかかるが、「ゆくゆくはMCになりたいとか、まったく考えてません。テレビに出られるだけで十分」と謙虚な姿勢の荒木。それでも「思いっきり前に出ていきたい」と意気込む。川合も「ロケをはじめ、呼んでいただけるなら何でも挑戦したい」と受け入れ態勢は万全だ。
バラエティーでの対応力も未知数の2人だけに、しばらくはフレッシュなリアクションでも楽しませてくれそうだ。
(「日経エンタテインメント!」10月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2018年10月19日付]