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シュツットガルト・バレエ団来日 感情伝える劇的舞台

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NIKKEI STYLE

情感あふれる劇的舞台で知られるドイツのシュツットガルト・バレエ団が3年ぶりに来日公演する。東京文化会館(東京・上野)で11月2~4日に「オネーギン」、同9~11日に「白鳥の湖」を上演する。いずれも1973年まで芸術監督を務めた天才振付家ジョン・クランコ氏の代表作。9月に芸術監督に就任した同バレエ団元トップダンサーのタマシュ・ディートリッヒ氏と、プリンシパルダンサーたちにクランコ作品の魅力を聞いた。

シュツットガルト・バレエ団といえばジョン・クランコ。同バレエ団は17世紀に創設され長い歴史を持つが、45歳で死去するまで芸術監督を務めたクランコ氏はいわば代名詞のような存在だ。クランコ氏が生んだ数々の名作によってこのバレエ団は一気に世界に名をはせた。ディートリッヒ新芸術監督も「空気にも壁にも、いたるところにクランコの存在を感じるし、我々の人生に深く入り込んでいる」と語る。

役に入り込み登場人物になりきる演劇的舞台

クランコ氏はバレエに演劇的な要素を多く取り入れ、登場人物の感情、やりとりが生き生きと観客に伝わるような振り付けで新たな舞台を作り上げた。クランコ作品の特徴について、ディートリッヒ監督は「役に入り込み、その人物になりきらないといけない」と高い演技力を要する点を説明する。「技術的に難しい振り付けが多いが、決められたステップを必死で覚えて披露するのでは伝わらない。舞台に上がったら振り付けなど忘れて役になりきり、感情がひしひしと伝わるように踊るのだ」と話す。

今回の演目の一つ「オネーギン」は、クランコ作品ならではの演劇的要素の詰まった名作で、「バレエダンサーなら一度は踊りたい作品」と言う。プーシキン原作の小説をもとに、1820年代のロシアで田舎の地主の娘タチヤーナと都会育ちの貴公子オネーギンの悲劇的な恋のゆくえを描く。娘タチヤーナを踊るアリシア・アマトリアンさんは「役柄にとても深みがあって、いろいろな解釈ができるのが魅力。ダンサーが自由に表現できる余地が残されていて、とても踊りがいがある」と役柄を説明する。

 「オネーギン」の音楽も独創的な構成だ。クランコ氏がチャイコフスキーのオペラ「エフゲニー・オネーギン」のバレエ部分を振り付けた経験から触発された純バレエ作品にもかかわらず、このオペラの音楽は使用していない。代わりにピアノ曲集「四季」の「6月・舟歌」、管弦楽曲「幻想曲《フランチェスカ・ダ・リミニ》」などチャイコフスキーのほかの楽曲を組み合わせて使っている。チャイコフスキー作品のハイライト組曲ともいえるこのバレエ音楽は、ドイツの作曲家クルト・ハインツ・シュトルツェ氏の編曲による。

悲劇で終わる独特のクランコ版「白鳥の湖」

主役のオネーギンを務めるフリーデマン・フォーゲルさんは「とにかく高くて難しいリフトが多い。背丈が1メートル90センチある私の場合、相手役は持ち上げられると3メートルくらいの高さで演技することになるので、信頼関係がないとうまくいかない。一度、アリシアを持ち上げて踊っているときに舞台上のベッドの角に彼女がぶつかってしまったこともあった」と苦笑いする。アマトリアンさんは「確かにクランコ氏の振り付けは難易度が高いが、うまく踊れると不思議と簡単にみえる。すべての動きが溶け合って、思いが伝わる美しい舞台になる」と付け加えた。

もう一方の演目、チャイコフスキー作曲の「白鳥の湖」は不動の人気を誇る古典バレエ作品だが、クランコ版では新しい解釈を加えている。最もよく知られる物語のラストでは、悪魔によって白鳥に姿に変えられていたオデット姫の魔法が解け、ジークフリート王子と幸せになる。ところがクランコ版は、悪魔の呪いによって王子は息絶え、オデット姫は白鳥の姿に戻ってしまうという救いのない悲劇で幕を閉じる。王子を演じるフォーゲルさんは物語が帰結するドラマチックな「第4幕が一番の見せ場」と言い、「ハッピーエンドではないところが、現実の世界に通じていてより共感をもたらすと思う」と解説する。

こうした独特の世界観を持つクランコ氏の作品が生まれ、愛されるようになった背景には、シュツットガルトの自由で新しいものを受け入れる気風があった。クランコ氏が死去したあともシュツットガルト・バレエ団からは、彼の薫陶を受けたジョン・ノイマイヤー、イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイスの各氏と、次世代の大物振付家たちが輩出された。ディートリッヒ監督もその伝統を受け継ぐ。

 ディートリッヒ氏は「古典作品だけでなく、現代作品や新人振付家による実験的な作品も演じているが、今シーズンも劇場の座席は平均で97%埋まっている」と現況を説明する。その上で「この恵まれた環境を利用し、若い振付家を育て、新たな踊りの表現を開拓していかなければならない」と監督としての抱負を語る。

舞台に上がれば感情があふれ出て手足が動く

さらに「ダンサーや演出家だけでなく、舞台を見に来てくれる次世代の観客を育てることも重要だ」とディートリッヒ氏は言う。バレエ団ではワークショップを開いてダンスを体験してもらったり、リハーサルを公開して舞台がどのようにできあがっていくのかを見せたりする活動を続けている。

年に一度、1500席ほどあるオペラハウスに子供たちを集めての公演も行っている。「初めて劇場内に足を踏み入れる幼い子供たちは喜んで大騒ぎになるが、数人でもバレエに興味を持って、公演に足を運んでくれるようになればと願っての取り組みだ」

公園に巨大なモニターを設置し、公演をライブ中継するイベントも開いている。「前回は7000人くらいがピクニックをしながら見てくれた。バレエは一部の上流階級のための芸術だと言う人もいるが、それは間違っている。言葉の壁のない、非常に素晴らしい芸術で、子供から大人まで、誰にでも見てもらえるようにしなければならない」。その思いはダンサーも同じだ。フォーゲルさんは言う。「バレエは全ての情熱を注ぐ、心底素晴らしいと思える芸術で、多くの人にもその魅力を伝えたい」

アマトリアンさんは「バレエダンサーはアスリートで、体を酷使するし、痛みで立っていられないこともある。ところがいったん舞台に上がると、全てが消えうせ、感情があふれ出て手足が動く不思議で美しい芸術だ」とも語った。そんな2人がみせるクランコの世界は、見逃せない舞台となりそうだ。

(映像報道部 槍田真希子)

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