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二重国籍、日本に「89万人」 世界は容認、企業に利点

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NIKKEI STYLE

日本と米国籍を持つテニスの大坂なおみ選手の活躍で「二重国籍」への関心が高まっています。生まれながらに両親の国籍が異なるなど、複数の国籍を持つ人への対応は国によって異なります。日本は22歳までにどちらかの国籍を選択することにしていますが、欧米諸国は二重国籍であり続けることを容認しています。こうした違いをどう考えたらいいでしょうか。

そもそも二重国籍者がどれほどの数いるかは、分かっていません。日本政府は選択義務を定めつつ、実際に選択したかどうかを把握していないためです。例えば二重国籍者が日本籍を選んでも、もう1つの国籍の離脱を認めない国があることなどが背景にあります。グローバル化の進展により、二重国籍の可能性がある人は増えているようです。政府は戸籍の情報などから、国籍の選択を予定する人の数を約89万人としています。

移民受け入れが日本より進む米国や欧州、オセアニアなどは二重国籍を原則として容認しています。名城大学の近藤敦教授によると、理由の1つは、2つの国籍の片方を捨てさせるのは「欧米では、人権侵害にあたるという考え方が根強い」(近藤氏)ためです。

もう1つは、二重国籍を容認した方が、国や企業にメリットがあるためです。移民の受け入れ国にとっては自国籍も取得させたほうが、国の運営をしやすい利点があります。グローバル展開する企業も社員が二重国籍であった方が、就労ビザなどの取得に手間がかかりません。

海外で働く日本人研究者の中には、外国政府への補助金の申請の必要などから外国籍を取得し、日本国籍を捨てざるを得ない人がいます。大阪経済法科大学の武田里子客員研究員は「国籍の選択を求める日本の制度は、海外で働く人にも厳しい状況を強いている」と指摘します。

日本は今後、海外出身の労働者の増加により外国籍を持つ人が増える見通しです。社会学者の下地ローレンス吉孝氏は「二重国籍の容認は、様々なルーツを持つ人とともに社会を築く理念を日本が示すことになる」と制度の変更を求めています。一方、二重国籍の容認については、投票権を2つ持つことなどを「特権的優遇だ」などとする反対論もあります。

英国のコンサルティング会社が10月に発表した世界199の国・地域のパスポートのランキングで、日本は1位となりました。ビザなしで渡航できる国・地域の数が最も多かったためです。これは日本の国籍が世界で信用されている証しとも言えます。二重国籍を容認すれば、日本国籍の取得を求める人が増えるのは間違いないでしょう。

近藤敦・名城大教授「複数の国籍、働く人にもチャンス」

二重国籍の制度と世界の潮流について、国籍問題に詳しい名城大学の近藤敦教授に聞きました。

――そもそも日本の制度はどうなっているのでしょう。

「日本の国籍法は1985年から、国籍選択制度を採用している。複数の国籍を持つ人は原則として22歳までにどちらかの国籍を選択する義務がある。しかし政府は選択の義務を課したかどうかを確かめたことはなく、日本国籍を選択した場合に外国籍を離脱するのも(罰則のない)努力義務にとどまっている。国籍を離脱することができない国があるのと、複数国籍者を正確に把握できないのに一部の人にだけ離脱を求めるのは不公平にあたることなどが理由だ」

――どんな問題がありますか。

「生まれながらに二重国籍となった人は、どちらかを選べという強迫観念を持たされてしまう。日本国籍を選んだ時にもう片方の国籍を放棄する努力義務はあるものの、実際には放棄しない人も多いようだ。二重国籍のことは表だって話せないなど、心理的な負担は大きい」

――二重国籍を維持することにも問題はありませんか。

「政府は国民の安全を守るために国外で自国民を保護する役割を負っているが、二重国籍者の保護はどの政府が担うのかという問題がかつてはあった。しかし現実にこうした問題はほとんど生じていない。欧州でも冷戦の終結前は二重国籍に慎重な考え方も強かったが、戦争を意識しなくなり、域内統合も進んでくると容認するようになった」

――二重国籍を容認すれば何が変わるのでしょうか。

「外国からの移民が増えたとき、ある都市の住民のほとんどが外国籍しか持っていなければ国としての運営が難しくなる。できるだけ国民として位置づけるほうが国の安定にとっていい。多国籍企業ならば、社員を別の国に転勤させるときのビザを取得するのは大変だ。複数国籍のほうが簡単に転勤できるので、働く人にとってもチャンスが増える。経済活動を活発化する意味もあるだろう」

――生まれながらに1つしか国籍を持っていない人からは、二重国籍はずるいということになりませんか。

「まずは二重国籍が認められないので、外国人として生活し続けることのデメリットが当事者にとって大きいことを知っておくべきだろう。日本から出て、仕事の都合で別の国籍をとらなければならないケースはよくあることだ。日本の国籍を捨ててしまえば、例えば親の介護の必要で日本に戻るときなどに大きな負担も生じる。こうした可能性は今の時代、誰にでもある」

――外国人労働者の増加が見込まれる中で、国籍選択制はどうすべきでしょう。

「外国出身の人たちが安定して生活できるよう、二重国籍を認めるべきだ。日本は他国からやってきて帰化する人が少ないが、複数国籍を認めないことも背景としてあるだろう。国内の生産年齢人口が減る中で、帰化率を上げ、国籍取得者を増やすのは大事な政策だ。閉鎖的で排他的な国籍法を改めるのがポイントとなる」

(高橋元気)

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