1人2600万円 日本より厳しい米国の子育て費用事情米国マネー事情(3)

レベッカさんは子育てのためにワシントンDCに引っ越した
レベッカさんは子育てのためにワシントンDCに引っ越した

米農務省の調査によると、米国で17歳までの子育てにかかる費用は推定で約23万ドル(約2600万円)に及ぶ。第1回「私大学費は年400万円 米国人は『529プラン』で備え」では米国の大学の学費の高さを取り上げたが、実は大学費用並みに高い子育て費用がある。日本の保育園や幼稚園にあたるデイケアやプリスクールにかかるお金だ。米国で子育てをする親は、教育費用の準備開始時期を前倒しせざるを得ないようだ。

所得水準によって大きな差

フレワットさんの4歳の息子は小学校に備えてフルタイムでプリスクールに通う

9月から始まった米国の学校の新年度。メリーランド州に住む30代の主婦、フレワットさんは8歳、4歳、2歳の子供をもつ。新年度を迎えて子供の成長を喜びつつも、少し悩ましげだ。今年度は4歳の息子のプリスクールの学費が月1000ドル(約11万円)近くかかるためだ。

フレワットさんは「来年度から小学校に入る準備があるので、9月からは息子を毎日、午前も午後もプリスクールに通わせている」と話す。

米農務省が2017年に発表した報告書(2011~15年調査)によると、2人の子ども持つ、収入が中程度の世帯(税引き前収入5万9200~10万7400ドル、約663万~1200万円)が、0歳から17歳まで子供を1人育てるための費用は23万3610ドル(約2600万円)だった。

子育て費用は所得水準によってかなり異なる。収入が少ない世帯(税引き前収入5万9200ドル未満)では17万4690ドル(約1956万円)、収入が多い世帯(10万7400ドル以上)だと37万2210ドル(約4170万円)に達した。収入が多い家庭ほど子供に多くお金をかけていることが明らかとなり、その差は2倍以上の開きになった。

どの所得層でも最もお金がかかる項目は住居費(収入が多い世帯で全体の26%、少ない世帯で33%)だが、0歳から5歳の未就学児の期間だけを見ると、住居費の次に占めるのが、どの所得層でも教育費だった。

その額は、収入が少ない世帯で年間2080ドル(約23万円)、中程度の世帯で同2870ドル(約32万円)、多い世帯で同5170ドル(約58万円)に達する。これだけでも十分に高額だが、同調査では時々ベビーシッターを利用する世帯やパートタイムで子どもを預ける世帯の数字も入っているため、仮にフルタイムで子どもを預けるともっと高い金額になる可能性がある。

実際、シンクタンクNew Americaなどの調査(16年)によると、0歳から4歳までの子どもを保育施設にフルタイム(週40時間、52週間)で預けた場合にかかる費用は年平均で9589ドル(約107万円)に達した。これは州立大学の年間の学費である平均9410ドルを超える金額だ。

最も費用が高いのは東部のワシントンDCの年1万5856ドル(約178万円)やマサチューセッツ州の同1万3208ドル(約148万円)。最も費用が安い南部のアーカンソー州では同5721ドル(約64万円)と、米国の場合、都市によって大きな差があるのも特徴だ。それにしても高額なのは、日本の幼稚園にあたるプリスクールや保育園にあたるデイケアは、民間で運営されることが多いためだ。

ボランティアで学費減額

こうした高額の学費を一般家庭ではどのように支払っているのか。プリスクールによっては通う日数や通う時間を親が選ぶことができるので、日数や時間を減らせばその分学費は安くなる。

前述のフレワットさんは昨年度まで、息子を週に3回、午前中だけプリスクールに通わせていたため、学費は月約350ドルだった。「まだ学校に通っていない2歳の娘がいるから私は仕事をしていない。高い学費を払って息子を毎日フルタイムでプリスクールに通わせるのは割に合わないと判断し、週3日に絞った」と話す。

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