ラグビー主将も東大へ 本郷高校、補習減で自主性育む本郷中学・高等学校の佐久間昭浩校長に聞く

「言われてみれば、思い当たるふしはあった」。例えば、学校で受ける英検が近づくと、生徒たちは「先生、いつ補習してくれるんですか」と聞いてくる。本来は英語の授業をしっかり聞いたり、自分で教材を買ったりして勉強できるのに、少人数の補習の方が手っ取り早く要点が聞けるというわけだ。「補習をやればやるほど、他人に頼る生徒をつくり出していたことに気づかなかった」

教えるのでなく、自分で考えさせる

生徒の自主性をいかに引き出すかに知恵を絞る=本郷学園提供

高橋校長の就任をきっかけに、教師たちの意識が変わる。「どう教えれば、生徒の身に付くか」でなく、「どうアプローチすれば、生徒が自分から考えるようになるか」と発想を切り替えたのだ。

例えば、英検では筆記試験の事前対策を一切やめた。しばらくの間、2次面接の指導だけは教師がやっていたが、それも現在は廃止し、生徒(先輩)に面接官の役を引き受けてもらっている。「教師よりも先輩相手のほうが緊張感を持つのではないか」という単純な理由からだ。

実際にやってみると、思わぬ成果があった。面接官役の先輩が最もよく勉強したのだ。「先輩は自分のせいで後輩たちが試験に落ちたら申し訳ないと考えたそうだ。その姿を見て、後輩もがんばろう、来年は先輩のようになろうと思ってくれた」(佐久間氏)。こうした手法を取り入れてから、英検の合格率は上昇したという。

数学では、教師らが自主的に本郷学園独自の学力検定試験(本数検)をつくった。中学生は学年ごと、高校生は全学年共通の試験とし、点数に応じて級や段が上がっていく仕組みだ。試験は1学期、2学期、3学期のそれぞれ始業式の日に実施する。直前の長期休暇に課題を出さなくても、自主的に勉強してもらうことを狙った。

ところが、最初は「朝のホームルームで級や段の認定証を渡しても、放課後にはごみ箱に捨てられていた」という。生徒たちの言い分は「学校内の資格に何の意味があるんですか」。そこで教師たちはどうしたか。本数検で何年生のときに何段だった生徒は、どのレベルの大学に合格した、といった一人ひとりのデータを蓄積していったのだ。そうすれば、学校内の資格にも意味が生まれる。年々、データ量が増えていくにつれ、生徒たちの理解も深まり、「今では認定証を受け取る生徒の表情もみな誇らしげだ」。

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