青色鮮やかなバタフライピー 飲料で楽しみ美肌効果も
鮮やかなブルーの花が特徴の植物「バタフライピー」をご存じでしょうか。タイを原産地とするマメ科の植物で、東南アジアやインド、日本では沖縄の竹富島などでも栽培されています。使用するのは主に花びらの部分で、乾燥させたものにお湯を注ぎ、天然の色素が抽出された真っ青なハーブティー「バタフライピーティー」として楽しむのが一般的です。
さらに、バタフライピーティーにレモンなどかんきつ系の果汁を加えて混ぜると、あっという間に鮮やかな紫色に変化するのも特徴的。交流サイト(SNS)映えするユニークなドリンクとして注目を集めています。
見た目だけじゃない アンチエイジング効果にも期待
バタフライピーティーは、ハーブティー専門店や輸入食品を扱うショップで茶葉やティーバッグなどが販売されています。見た目の良さだけではなく、美容効果に期待できるといいます。管理栄養士・ナチュラル料理研究家の谷口あゆこさんは、「バタフライピーに含まれるアントシアニンによる抗酸化作用が注目されています」と話します。
「真夏にたくさんの紫外線を浴びた方の中には、シミやシワの心配をされている方もいらっしゃると思います。紫外線によって体内に大量に発生した活性酸素に対して、抗酸化作用が健康な肌にしようと働くため、シミやシワを防ぎ、アンチエイジングにつながることが期待できます」(谷口さん)
女性にうれしい効果が期待できる一方、バタフライピーには子宮収縮作用や血小板凝固を抑制する作用があるとされているため、「妊娠中や生理中はバタフライピーティーの飲用を控えてください」と谷口さん。また、飲用としてはハーブティーが好まれていますが、東南アジアでは布地を染める染料に使われることもあるほど強い色素のため、「洋服にこぼしてしまった場合はシミになる可能性があるので注意してください」と話します。
ちなみに、バタフライピーティーにかんきつ系の果汁を入れると、色が青から紫へ変化するのは、「かんきつ系の果汁、とくにレモン汁などに含まれるクエン酸が、バタフライピーに含まれるアントシアニンと化学反応を起こすため」(谷口さん)とのこと。飲むときはお好みの果汁を絞って、色の変化を楽しんでみましょう。
タイ料理店で味わうフォトジェニックなレモンサワー
バタフライピーティーは独特の見た目に反し、クセがなく、味や香りもほとんど感じられないため(人によってはほのかな酸味や豆っぽい香りを感じることも)、合わせる食材によってさまざまなアレンジが楽しめるのも特徴的。ここからは、飲食店やメーカーが提案するバタフライピーの味わい方を紹介していきます。
今年4月にオープンしたタイ料理店「クルンサイアムGEMS神宮前店」(東京・渋谷)では、濃く煮出して冷ましたバタフライピーティーを使った「タイレモンサワー」を提供。一緒に添えられているレモンを絞り入れると、グラスの中身はやや紫がかった青から赤みのある紫へと変化します。
味は一般的なレモンサワーと同様さっぱりとしたレモンの風味で、「スパイシーなタイ料理とぴったりです」と話すのは、クルンサイアムを運営するスースーチャイヨーの木下明香さん。オーダーする客層は幅広く、やはり写真を撮っている姿を多く見るのだそう。
木下さんによると、タイ現地ではカラフルに着色したスイーツが人気で、その着色料としてもバタフライピーが用いられるといいます。原産地であるタイでも、バタフライピーのフォトジェニックな見た目が愛されているようです。
リキュールを使ってオリジナルカクテルにチャレンジ
酒造会社北岡本店(奈良県吉野町)では、清酒のほか、果物やハーブを使ったさまざまなリキュールを取り扱っています。今年7月から販売を開始したのが「アンチャン・バタフライピー・ブルーキュラソー」です。「アンチャン」とは、タイ語でバタフライピーのこと。
「アルコールにタイ産のバタフライピーを浸し、香味成分を抽出し、ブルーキュラソー風に仕上げるためオレンジの香料と糖類を加えたシンプルな製法で仕上げています」と話すのは、北岡本店オンラインショップ販売担当者の辻二郎さん。シンガポールで女性が青いお茶を飲んでいるのを見たことで興味を持ったことがきっかけで、さらにバタフライピーが持つアンチエイジング効果にも注目したことから、商品開発に至ったといいます。
おすすめの飲み方は、グラスに氷、リキュール約20ml、ソーダ水をお好みの量注いだ「アンチャン・ソーダ」。そして定番のジントニックにリキュールを少量加えた「アンチャン・ジントニック」とのこと。ソーダにはレモンやグレープフルーツ、ジントニックにはライムをそれぞれ最後に絞り入れることで、バタフライピーならではの色の変化が楽しめます。リキュールは奈良にある北岡本店本社の蔵元直売所や、オンラインショップで購入できます。
コンビニで買えるバタフライピーティー 冬はホットでも
東京都市部を中心に展開しているコンビニエンスストア・チェーン「ナチュラルローソン」では、今年4月から「バタフライピーティー レモン&ミント」の販売を開始。さらに同年8月には第2弾商品「バタフライピーティー パッションフルーツ&ライム」が発売されました。
ローソン商品本部ナチュラルローソン商品部の谷山亜季さんは「酸性の食材を加えることで色の変化を楽しめることから、『SNS映え』トレンドにより、流行に敏感な20~30代の女性をターゲットにしました」と商品開発の背景を語ります。その狙いどおり、発売後は写真に「レモン果汁で色が変わる」といった特徴も添えてSNSに多数アップされたといいます。
「レモン&ミント」は爽やかな香りでスーッとした後味、「パッションフルーツ&ライム」はトロピカルな香りが特徴。また、容器を移し替えて電子レンジなどで温めればホットドリンクとしても味わえるそう。「ホットにするとより香りを楽しんでいただけます」(谷山さん)とのことなので、寒い季節もおいしくいただけそうです。
自宅で楽しめる、グラデーションが美しいドリンク
全国におよそ120店舗を展開するハーブとアロマテラピー専門店「生活の木」では、「ナチュラル バタフライピー」と「ハーブ蜜酢 ローズ」を販売しています。バラの花弁をリンゴ酢とハチミツに漬け込んだハーブ蜜酢を、氷と一緒にグラスに入れ、その上に抽出して冷ましたバタフライピーティーを静かに注げば、2色のコントラストが美しいドリンクの完成。ひと混ぜすると、さらに美しいグラデーションへと変化します。
「2色に分かれた蜜酢とバタフライピーを混ぜれば、キレイな赤紫色になり、色の変化を楽しめます。ハロウィーンやクリスマスなどこれからのパーティーシーズンに盛り上がるかもしれません」と話すのは、生活の木マーケティング本部企画・開発DIVマネージャーの平川知子さん。ローズのハーブ蜜酢による、まろやかな味わいと華やかな香り、リンゴ酢のほのかな酸味が特徴的です。ホームパーティーのお土産や、ちょっとしたプレゼントに選んでも喜ばれそうな組み合わせです。
鮮やかな色でフォトジェニックなバタフライピー。お店で、自宅で、不思議な色の変化を楽しんでみては。
(取材・文 GreenCreate)
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