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デキる大人はこう学ぶ

「自分を知る」が学びの基礎 フィードバック求めよう リクルートワークス研究所主任研究員 辰巳哲子氏(4)

2018/10/20

私は都内の私立大学で教育社会学を教えています。授業では「学校から社会への移行」や「子どもの貧困」、「ジェンダー」、「格差」など様々なテーマを扱います。学期の終了時には、授業で扱った事柄を基に学生自身がより具体的なテーマを決め、リポートを書いて提出することになっています。

ここで重要なのが、提出までの間に全員にリポートの内容をプレゼンテーションさせ、学生同士で評価し合う機会を設けていることです。発表時間は1人7分で、授業2コマ分を使って50~80人が発表します。その際、私がまず「評価の観点」を説明し、聞く側の学生はそれに沿って評価し、フィードバックを行います。フィードバック用の紙には「問題として取り上げる際のエビデンス(証拠)が少ない」「自分の主張を裏付ける先行研究が少ない」といった内容が書かれます。

■「何がわかっていないか」 他人の目を借りて知る

発表した学生はフィードバックを読んだうえで自分のリポートを振り返り、提出までに「どこを改善する予定か」「今後、何をしなければならないか」をまとめます。このとき、自分が改善すべき点を的確にとらえている学生の振り返りは具体的で、最終リポートのレベルも非常に高いのです。

●改善点がわかっているケース
・構造を考えながら考察したにもかかわらず、それを上手く利用できなかった。エビデンスが不足していたことが原因の1つだと考えている。
・リサーチクエスチョン(研究課題)をもう少し深掘りしないと、表面的な議論で終わってしまう
・独自の着眼点が少なかった。自分の中でもう少し話を整理する必要があった。
●改善点がわかっていないケース
・声をはって話したが、伝わっているか不安だった、皆がわかりやすかったと言ってくれたのでよかった。
・資料が完成しなかった。
・プレゼンテーションのレベルが低かった。
・もっと論理的に話を進めるべきだった。
ほかからのフィードバックを生かして自分のリポートを振り返るのが重要だ

何ができていて、何が不足しているのか。それをつかむには、自分の発表とほかの人の発表を比べ、相対化する場を持つ必要があります。さらにその場で他者の反応を感じ、徹底したフィードバックを得ることが大切です。あらかじめ「評価の観点」を示しておくのもフィードバックの内容が散漫になるのを防ぎ、役に立つようにするためなのです。

他者からのフィードバックは、年齢を重ねると少なくなりがちです。ある程度の「大人」に向かって、何か指摘するのをはばかる空気も生まれるからでしょう。ですから「自分がわかっていないことを知る」には、自分からフィードバックを得られる環境に身を置く必要があります。ネットなどを利用して自ら発表の場を創る、コラムや書評を書くなど、フィードバックを期待できるアウトプットの場をつくりましょう。

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