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カリスマの直言

後継者いない 中小企業はファンド注目を(安東泰志) ニューホライズンキャピタル取締役会長

2018/10/22

写真はイメージ=PIXTA
「中小企業が事業承継を考える際にはまず、親族に後継者がいる場合といない場合に分けて考える必要がある」

日本経済は低金利や財政出動にも助けられて緩やかな成長を続けているが、地域経済は必ずしも楽観できる状況ではない。特に中小企業の労働生産性は低迷している。

例えば、経済産業省が2017年10月にまとめた「中小企業・小規模事業者の生産性向上について」と題する報告書によれば、労働生産性を示す従業員1人当たりの付加価値額は16年までの20年間に製造業で3.2%、非製造業で9.2%も低下している。

■中小企業の経営者は高齢化が進む

その原因の一つとして挙げられるのが(1)開業率が低いこと(2)事業承継が進まないこと――などによる経営者層の高齢化である。事実、上記の報告書によれば、中小企業の経営者の年齢分布で最も多い層は過去20年で47歳から66歳へと約20歳も高齢化している。現状を放置すると、25年までの10年間の累計で約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)が失われるとされている。

全国の地域金融機関もM&A(合併・買収)支援などの対応を強化しつつある。政府も先代経営者から後継者に株式を相続または譲渡・贈与する場合は一定の条件を満たせば、相続税や贈与税の支払いを猶予するなどの時限的な支援措置を講じている(18年の事業承継税制の改正)。しかし、それらの方法だけではスピード感を持ち、かつ柔軟に事業承継を実現するには限界がある。

事業承継のパターンを図にまとめた。事業承継を考える際には、まず、親族に後継者がいる場合といない場合に分けて考える必要がある。子や孫などの親族に後継者がいる場合には、上記の政府の税制優遇措置なども念頭に置きながらなるべく早期に株式と経営権を譲渡するよう促すことが大切だ。

■問題は親族に後継者がいないケース

問題は親族に適当な後継者がいないケースだ。その場合は、現経営者の株式は親族以外に譲渡する必要があり、その上で、社内または社外から新しい経営者を登用することになる。

株式の譲渡については様々な選択肢があり、どの形態を選ぶかは新しい経営体制のあり方と密接に関連している。

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