例えば16年のリオ五輪のときは後輩に3週間仕事を任せ、戻ってきたら今度は後輩が3週間海外に行くために抜け、その間は村上さんがフル稼働で仕事をする。「3カ月でそれぞれが稼働率60%を担保すればいい」ことになっているので、日本代表の海外遠征の試合を見るために年間5~6回、数週間休むということも可能になった。後輩は本業でカメラマンのエージェント会社を経営しているため、補完し合う関係は互いにメリットがあった。

柔軟な働き方は家族の不測の事態にも対応できる。村上さんは昨年、親の介護に直面した。「父が亡くなる前の数カ月は北海道に毎週のように帰っていました。フリーランスで60%稼働という働き方だったから、一緒に過ごすことができたと思います」と振り返る。

趣味もとことん追求すればプロとして発信できる

2018年6月、ロシアW杯を観戦。モスクワの聖ワシリイ大聖堂の前で=村上アシシ氏提供

12年間、55カ国を旅するなかで、村上さんはサッカー観戦をすると必ず現地リポートをブログで発信してきた。そうすると「プロサポーター」として知られるようになり、最近ではライター業や講演などの収益源も生まれてきた。「Jリーグの観客動員数の分析」など、コンサルタントならではの数値を使った考察も人気の理由だ。

今年のロシアW杯では新たなビジネスにも挑戦した。開催10カ月前から、現地の格安ホテルやチケットの買い方などの情報を1万円で提供するオンラインサロンを開いたのだ。2回の下見でロシアに飛んで情報収集しただけではなく、モスクワから生情報を発信してくれるスタッフも雇うという、もはや趣味の領域を超えた本格的なビジネスだ。ここでも数百万円の収入を得た。

「これからはサラリーマンでも2つの軸を持てる人が強いのではないか」と村上さんは提案する。「好きなことだけで稼ぐという類いの書籍が最近多いですが、サラリーマンからみたらうさんくさいですよね。そんなことができる人は氷山の一角。しかも先行者利益があって、後から追いかけるのは不利。例えば、動画サイトに特技を投稿するユーチューバーも自分が出す情報や映像などが再生されなくなったら終わりじゃないですか。得意なことと好きなことの2軸を追求し、ポートフォリオを組む。それら2つの軸を最適の配分で組み立てることが、再現性の高い方法だと思います」

自身も20代はコンサルタント、30代はサッカーに打ち込んできた。40代の今、その2つを掛け合わせることを実践し始めている。「オンラインサロンで集まってくれた人のうち23人のW杯体験記を編集して電子書籍として出版することもやりました。起業すると大変ですが、プロジェクトベースで人を集めるというのは面白いなと思っています」。人生100年時代といわれるなか、すでにサラリーマン、フリーランスに続くサードキャリアを模索中だ。

(安田亜紀代)

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