分配型投信、シニア向けに新型続々 隔月支払い主流適度に元本取り崩し

2018/10/20
写真はイメージ=PIXTA
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「人生100年時代」を迎え、老後資金は誰もがアタマを悩ませる問題のひとつだ。資産の「寿命」を延ばすとともに、年金だけでは足りない生活費の穴埋めもしたい。こうした高齢層のニーズをくみ取る投資信託が登場している。核となるのが運用リターンを狙うとともに、年に複数回の分配金を受け取ることのできる「シニア向け投信」だ。

生活費の穴埋めに

内閣府の「高齢社会白書」によると、2017年の総人口に占める65歳以上の割合は27.7%と、4人に1人以上を占める。慶応義塾大学の駒村康平教授は、「日本の家計の保有する金融資産はさらに高齢者に偏っていくだろう」と指摘する。

長い人生を見据え、金融資産が十分かを不安に思う高齢者は多い。こうした個人の受け皿になるのが投信だ。投信には株や債券といった複数の金融商品に投資することで、リスクを分散しながら運用できる特徴がある。定期的に受け取る分配金も個人には魅力的に映り、数年前までは高分配の「毎月分配型」投信が主流になっていた。

だが、金融庁はこの毎月分配に厳しい姿勢を示してきた。運用の実績を上回る過度な分配金で元本が取り崩され、長期の資産形成には適さないという理由だ。証券会社などは毎月分配の販売を自粛。この結果、毎月分配型で支払われる分配金は直近のピークだった15年から大幅に減少している。

分配金を出しすぎて運用の複利効果が得られなくなるのは、現役層にはマイナスの影響が大きい。だが一方で、年金だけでは生活費をまかなえない高齢層には、分配金のニーズが今でも根強くある。

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年に資産15%分配