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素材のうまみ引き出す「水塩」 現代版に進化し復活

魅惑のソルトワールド(22)

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NIKKEI STYLE

「温故知新」という言葉にふさわしい調味料があります。今回取り上げる「水塩」です。食のジャンルでは「昔ながらのもの」が見直されることが増えています。「発酵食品」「伝統的な和食」「在来野菜」などが有名で、調味料も例外ではありません。ブームになった「塩麹(こうじ)」や「塩レモン」に次ぐ、「温故知新」な調味料の可能性が一番高いのが水塩だと私はにらんでいます。

水塩とは、塩分濃度の濃い塩水のことで、1489年に著されたとされる料理書「四条流包丁書」に登場します。「ウシホ(潮)ヲ汲テ先ズ煎ジテ」と記載されており、海水を塩にならない程度に煮詰めた濃縮海水であったことが分かります。

塩味のある液体調味料といえば、しょうゆを思い浮かべるかもしれません。ですが、実はしょうゆが一般家庭に普及したのは江戸時代後期のこと。それまではこの水塩が、今でいうしょうゆのような使われ方をしていたのです。

濃縮海水には、ナトリウム以外にもマグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルが含まれており、しょっぱさのほかに苦味や酸味が感じられます。また、ミネラルの作用によって発酵や熟成にも関与するため、「週末レシピ Xマスチキン、ジューシーに仕上げる秘密」でもご紹介したように、素材を漬けこんで軟らかくしたり、うまみを引き出したりすることができます。

また、液体状なので、塩の結晶と違ってムラになることなく食材にまんべんなく塩味をつけることができます。使う塩の量を減らすことにつながり、減塩を気にしている人にもお薦めです。さらに、塩が溶けた状態なので料理に加えた瞬間に塩味が決まります。「塩味が足りないなあ」と塩をどんどん加えて、料理がしょっぱくなってしまうという失敗も防ぎやすくなります。もちろん、昔ながらの使い方のように、しょうゆ代わりに刺し身につければ、素材の味わいが引き立ちます。

「水塩」にはこのように多くの利点がありながら、なぜ廃れてしまったのでしょうか。「水塩」は素材のうまみや香りを引き出すのは得意ですが、「水塩」そのものにはうまみや香りがありません。それ自体のうまみや香りが強いしょうゆが普及するとともに、水塩が徐々に使われなくなってしまったのではないかと考えられます。また、清浄な海水を身近で手に入れることが難しくなったということも関係していると思われます。

その水塩に再びスポットライトが当たったのは2013年のこと。創業から100年を経た昆布の老舗、松前屋から発売された「昆布の水塩」がきっかけでした。

有名シェフの監修で生み出されたのは、現代に即してアレンジが加えられてバージョンアップした水塩でした。濃縮塩水に真昆布のエキスやその他うまみの強い食材のエキスを加えることで、伝統的な水塩に決定的に足りなかったうまみや香りが付加されています。百貨店の目玉商品として取り扱われ、メディアで取り上げられて水塩の復活を印象づけました。その後、各地にある製塩所でも水塩を生産するところが増え、「素材の味をそのまま味わう」という食の好みが強まったこともあり、水塩は復活したのです。

さて、この水塩。市販品を購入する以外にも、家庭でも簡単に作ることができます。「え?近くに海なんてないよ」と思った方、ご安心ください。海水を濃縮して作る水塩のほかに、塩から作ることができる水塩もあります。和食の料理店では主に「塩から作られる水塩」が使われてきました。カルシウムを除去するために卵白を使うなど、作り方はいくつかあるのですが、今回は最もシンプルで簡単な方法を紹介します。

〇塩分濃度約25%の水塩

<材料>
水300cc
塩75グラム
<作り方>
(1) 鍋に水300ccを入れて沸かし、塩75グラムを入れてよくかき混ぜて溶かす
(2) (1)をしっかり冷まします
(3) (2)をコーヒーフィルターにいれて、こしたらできあがり
<ポイント>
*コーヒーフィルターにカルシウム分が残ります。(2)でしっかり冷まさないと、(3)の工程でカルシウムが分離しません
*水塩を使用する際は、スプレーボトルに入れると便利です。ただし、入れっぱなしにしておくと、管の中で塩が結晶してプッシュしても出てこなくなる場合があるので使う時にだけ入れるようにしましょう。
*うまみを付加したい場合は、(1)の湯を沸かす段階で昆布やカツオを投入し、だしをとっておきましょう。

この時使う塩は、できる限りナトリウム以外のミネラルを含んだものを選びましょう。なぜなら、古くから日本で生産されていた塩は、もともとマグネシウムやカリウムが主成分となったにがりを多く含む塩が主流で、和食に伝わる水塩もかつてはこのような塩を使って作られていたからです。商品パッケージの裏側を見て、マグネシウムやカリウムの多い塩を選ぶと、昔ながらの水塩に近いものを作ることができます。

あると便利な水塩。ぜひ試してみてください。その便利さとおいしさに虜(とりこ)になること間違いなしです。

せっかくなので、これまでの「温故知新」の調味料、塩麹と塩レモンも振り返ってみます。

塩麹は米麹と塩と水を混ぜて糖化・発酵させたペースト状の調味料です。諸説ありますが、東北地方の伝統食品「三五八漬け」の漬け床(塩:米麹:米=3:5:8の割合で混ぜて作る)がルーツと言われています。江戸時代に著された「本朝食鑑」の中にすでに「塩麹漬」という記載があり、少なくとも江戸時代には広く食されていたことがわかります。

「塩レモン」は、レモンを塩で漬け込んだもので、モロッコの伝統調味料である「レモンコンフィ」が由来であると言われています。日本でブームとなった「塩レモン」とはちょっと異なり、レモンを塩で漬けるというよりは、レモンに切れ目を入れて塩をすり込んでから1か月ほどおいて発酵させた後、皮だけを使うのですが、日本に入ってくる時に少しアレンジが加えられたようです。

どちらも材料に塩を加えて発酵させる、というシンプルな構造であることが、現代にも受け継がれてきた理由かもしれません。そしてどちらも、現代に合うように若干アレンジされています。

水塩、塩麹、塩レモン。昔ながらのレシピに加えて新しいレシピも生まれており、まさに「温故知新」な調味料として、日々の生活にもっと取り入れてもらえれば、と期待しています。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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