マンションとは一つの村のようなもの

長嶋 マンションは一つの村みたいなものです。タワーマンションだと500世帯ぐらい、約1500人が住んでいます。法律上は5分の4の賛成があれば建て替えできますが、少しでも反対する人やお金を出せない人がいると物事は進みません。マンションの管理は管理会社がやるものだという意識が長らく住民にありました。管理会社は本来、所有者で構成する管理組合の相手先でしかありません。しかし、いつの間にか管理会社がすべてコントロールするようになりました。

田原 人口減少、少子高齢化で一番ダメージを受けるのは地方だ。僕はいくつも地方自治体を取材したが、大半の地方自治体の経済が悪化している。出生率が下がる、若い世代はどんどん出ていく。マンションや家の値段が下がるのは当たり前だ。

長嶋修 不動産コンサルタント。株式会社さくら事務所代表取締役会長。1967年、東京生まれ。広告代理店、不動産デベロッパーの支店長・不動産売買業務を経験後、業界初の個人向け不動産コンサルティングを行う、さくら事務所を設立

解決策は「街を縮める」

長嶋 できるとすれば、街を思い切り縮めることだけです。

田原 「限界都市」ね。

長嶋 切り捨てられる街や地域が出てきます。マンションも同じ。いくつかの自治体は思い切って街を縮めています。例えば、岐阜県岐阜市や千葉県流山市などです。誰かが悪者になってメリハリをつけるしかありません。

田原 一番悪いのは自治体の首長だ。県知事や市長。みんなのご機嫌を取るために思い切った政策を打てない。

日本の悪いところは、企業が国と組まないとうまくやれなくなっていることだと思う。地方企業の経営者は東京に本社を移した。米国や英国の企業は地方に本社を移転させているというのに……。一方で、東京は全国で一番出生率が低いという問題がある。

積立金ぼったくり問題も

「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」、850円(税抜き)、日本経済新聞出版社

長嶋 マンションの管理会社は、12年目などの時期になると、大規模修繕の見積もりを管理組合に送りつけていました。これまで組合はそれをうのみにしてきました。

でも、それはよくないよと、コンサルタント会社が出てくるようになりました。どんな修繕がふさわしいかチェックし、工事業者の見積もりを取らせ、最善の工事業者に依頼するよう仕切るのがコンサルの仕事です。ここ4、5年、非常に安いコンサル料で受注をしてくる会社が出てきました。すると管理組合はそちらに流れてしまいます。

実はその安いコンサル会社は工事会社とグルになっていることがあります。談合によってA社が落札したら、A社から10~20%のバックマージンを受け取ります。1億円の工事なら2000万円です。

私は10回も引っ越した

田原 ところで質問。マンションは何歳ぐらいで買うのがいい?

長嶋 何歳でもいいですが、若くていずれマンションや一軒家を買おうと思う人は、早ければ早い方がいいです。なぜなら住宅ローンが早く終わるからです。

田原 僕らの世代は、早く買った人のほうが失敗した。1963年、初めて建売住宅を買いました。でも1年で失敗。また買って、1年たって失敗。また買った。

長嶋 何が失敗だったんですか。

田原 そのころは給料が安かったので安いとこしか買えない。だから埼玉県蕨市に買った。そうしたら残業が多くて、帰りのタクシー代がとんでもない額になる。それで今度は東京都北区の十条にしたけど、そこは建物が悪かった。結局、10回も引っ越しすることになった。家は早く買えばいいというものじゃないよ。

長嶋 まあ、どんな家を買うのかが大切だということですね。

(10月3日に世界貿易センタービルで行われた日経プレミアシリーズ「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」刊行記念対談を再録しました)