再びの米国発株安 調整か終わりの始まりか(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

米国発の株安が再び世界の金融市場を揺さぶった(10月10日、米ニューヨーク証券取引所)=ロイター
米国発の株安が再び世界の金融市場を揺さぶった(10月10日、米ニューヨーク証券取引所)=ロイター
「米国のハイテク株を中心に世界の株価水準は明らかに高い状況にある。このため、ささいなことでも株価が下落しやすい」

米国発の株安が再び世界の金融市場を揺さぶった。米株式相場は10月10日、ハイテク株を中心に大幅安となり、世界の株式市場に売りが波及した。つれて、ドル円相場は一時1ドル=111円台まで円高・ドル安が進んだ。果たして、この動きは単なる調整なのか。あるいは終わりの始まりなのか。

今回の下落は株価調整、早晩上昇に転じる

筆者は米株急落中の今年2月に「米国発株安 上昇トレンドは変わったのか」を寄稿した。その中で「今回の調整は想定の範囲内であり、基本的に相場の上昇トレンドが変わったとは考えていない」と述べた。今回も結論は同じである。筆者は今回の株価下落は株価調整にすぎず、早晩、株価は再度上昇に転じると予想する。

世界の株式相場の上昇は2009年3月初旬の底からすでに9年7カ月続いている。その結果、米国のハイテク株を中心に株価水準は明らかに高い状況にある。このため、ささいなことでも株価が下落しやすい環境にある。

相場変調の原因として(1)米国株(特にハイテク株)独り勝ちの反動(2)米長期金利上昇を無視して株価が上昇(3)米連邦準備理事会(FRB)のさらなる利上げ見通し(4)トルコなど新興国通貨が大きく下落(5)11月の中間選挙を控え米トランプ政権が通商政策で中国に対し強硬――などが挙げられる。しかし、筆者はこれらだけでは相場が大転換する理由にならないと考える。

過去のバブル崩壊は逆イールドがきっかけ

過去、歴史的な株価の大転換(つまりバブル崩壊)のきっかけは、全て米国の逆イールドカーブ(短期金利が長期金利を上回る状況)であった(詳しくは「バブルは10年に1度 歴史が語る崩壊の予兆」を参照)。しかし、現在、政策金利であるフェデラルファンド金利(短期金利)は2%程度、長期金利は3%程度と、逆イールドにはほど遠い。例えば、1987年のブラックマンデー時(米ダウ工業株30種平均の下落率は1日で22.6%と史上最大を記録)は順イールドカーブであり、ほどなく世界の株価は上昇に向かった。

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