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ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。9月に引き続いてアマゾンをめぐる本やデジタル社会の未来を考える本が相変わらず売れ筋の上位に並ぶ。そんな中、新刊として売り上げを伸ばしていたのは、1980年代の消費文化を主導した1人の経営者の思想と実現しようとした未来を今日の視点から改めて見つめ直した本だった。

セゾングループの歩みから見えるもの

その本は鈴木哲也『セゾン 堤清二が見た未来』(日経BP社)。著者は日本経済新聞の記者として小売業など消費関連分野を長年取材してきた。セゾングループを担当したこともあり、経営者・堤清二氏とセゾングループについて「バブル経済の"あだ花"だったという紋切り型の評価で、歴史に葬ってしまってもいいのだろうか」という思いが年々高まってきたという。その思いを現在にぶつけて「セゾングループの歩みを通して堤が導きだそうとした『解』を探」ったのが本書だ。

最晩年にグループ解体という形で幕を下ろした堤清二氏は、決して成功者ではない。だが「生み出した数々の事業は、現代でもなお輝き続けている」と著者は言う。そして、その輝きを代表する事業から本書を書き起こす。経営者人生の後半に生み出し、いまやSPA(製造小売り)のグローバル企業へと成長した「無印良品」だ。その躍進の根底に堤氏が生み出した理念が息づいていること、今の経営者がその原点を何度でも学び直そうとしていることを、著者は関係者の言葉を丹念な取材で拾いながら、あぶり出していく。

今日に通じる多くの問い

第2章は西武百貨店、第3章はパルコ、第4章はロフトやリブロ、チケットセゾンなどの専門店……。多岐にわたった事業展開を検証すると見えてくるのは、堤氏が事業を通じて発信してきた数多くのメッセージだ。「コト消費」の重要性、ライフスタイル提案、ロボットの導入から働き方や豊かさへの問いなど、堤氏が提示したメッセージの今日性には改めて驚かされる。

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