仕事にテーラードジャケット 女性もりりしくデキる感
宮田理江のファッション戦略論
本格テーラードジャケットは、タイムレスな魅力を放つお仕事アイテム。ビジネスシーンで信頼感のある印象を与えてくれます。自分流アレンジやミックスコーデで着こなす方法を、ファッション・ジャーナリストの宮田理江さんが解説します。
紳士服に起源を持つ本格テーラードの装いは、ビジネスシーンの女性にも凜々(りり)しい着姿をもたらす。品格を備えた着映えはオフィスでも信頼感や節度を薫らせる。創立200周年を迎えた「Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)」はウィメンズウエアでもタイムレスな装いを演出してきた。仕立てのよさを感じさせる正統派の装いは程よい「デキる感」も印象づけてくれる。
ジャケット姿を自分流にアレンジ
アメリカンクラシックの看板的なアイテムであるゴールドボタン付きブレザーは、ワードローブに1枚備えておけば、何かと役に立つ。お仕事コーディネートではプレーンな白シャツで合わせるだけで、残りのボトムスは自在のマッチングが試せる。端正なシルエットがきちんと感を強調。少しかしこまった席でも心強い。普段使いではジーンズやマキシ丈スカートで雰囲気を変えて。正統派イメージを少しずらす感覚で意外なマッチングを試したい。
襟がないノーカラーのジャケットは、気負って見えにくいから、適度なフェミニンを印象づけたいオフィスコーデに好都合だ。前を開けて、シャツやブラウスをのぞかせれば、ラウンドネックの柔らかい見え具合が際立つ。ジップアップのジャケットと細身のペンシルスカートは引き締まったシルエットを描き出す。ウエストを軽く絞ったジャケットは細感を引き出してくれる。
カッチリ見せないミックスコーデ
オフィス服の代名詞的なパンツスーツにもアレンジの余地は大きい。チャコールグレーのスーツに引き合わせたのは、優しいパウダーピンクのニットトップス。マニッシュとフェミニンのミックスは全体をこなれた風情に整えてくれる。スカーフの艶やかなレッドが差し色になって、顔周りを明るく演出。マスキュリンなパンツとエレガントなハイヒールのミックスも、性別にとらわれない「ジェンダーミックス」に整えてくれる。
オフィスで着るジャケットはダークカラーや地味め色が多くなりがちだが、キャメルのような穏やか色を選べば、柔らかいキャラクターを寄り添わせやすい。テーラードジャケット特有のカッチリした印象を和らげる効果も見込める。深みのあるボルドーカラーのニットトップスと、コーデュロイのパンツで、異素材同士をミックス。襟元にふんわりと添えたスカーフがジャケットコーデに色と柄のアクセントを加え、着姿を華やがせている。
スーツやジャケットに一工夫で思い思いの着姿に
スーツやジャケットはオフィスでのお約束的な装いだが、少しの工夫を加えるだけで、型にはまり過ぎない着姿に仕上げられる。トップスにシャツ・ブラウス以外のアイテムを迎えたり、シルエットや色に特徴を出したジャケットを選んだりといったアレンジで、思い思いの見え具合に整えていこう。
「ブルックス ブラザーズ」は1818年にNYで創業した。ブレザー、ボタンダウンシャツなどを世に広めたことでも有名だ。2018-19年秋冬コレクションはテーラリングを強調しつつ、女性らしさも取り入れた装いを提案している。200周年を記念した、ブランド初となる展覧会が10月5日~11月30日、文化学園服飾博物館(東京・新宿)で開催されている。
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートからトレンド情報、スタイリング指南などを発信。バイヤー、プレスなど業界経験を生かした、「買う側・着る側の気持ち」に目配りした解説が好評。自らのテレビ通版ブランドもプロデュース。セミナーやイベント出演も多い。 著書に「おしゃれの近道」「もっとおしゃれの近道」(ともに、学研パブリッシング)がある。
[nikkei WOMAN Online 2018年9月22日付記事を再構成]
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