「PBの展開にあたっては、偉大な先輩としてユニクロの事例も研究しています。『ヒートテック』は10年以上前から素材で東レと組み、広告では利用者に焦点を当てて北海道の漁師に着てもらうなど革新的な取り組みをしています。日本で最も寒さに困っているだろう漁師に、着ぶくれしなくて動きやすい服が届き、今までと次元の違う機能に出合った感動が見える。イメージ戦略じゃなくて、ファクト(事実)そのものです。ストーリーとしてわかりやすい」

どんな体形でも、似合う服

田端氏は「全ての業界で個人仕様化が起こる」と話す

「サッカー日本代表の本田圭佑選手が当社のデニムを着てくれていました。サッカー選手は一般的な体形に近いと思いますが、ラグビーとかアメリカンフットボールなどのアスリートには特殊な体形になった人もいて、既製品では間に合いません。肩幅で合わせると下がだらだらになる。そういう人にZOZOのビジネススーツがいい、というように展開できるのではないかという仮説を持っています」

――ユニクロはSPA(製造小売り)という業態でアパレルに革命をもたらしました。ZOZOは何を変えたいですか。

「ゾゾスーツで利用者のことを知れば、従来とは違うレベルで消費者の需要に直結できると思います。化粧品でも個人仕様化が始まっており、全ての業界でそういうことが起こるでしょう。一人ひとりの情報が、ネットの力で低コストで把握できるようになりました。お客さんのことをよく知っている人が強いというのは、昔から商売の基本です。当たり前のことを最新の技術でやっていくだけです」

――マーケティングの発想を学ぶ原点になったのは、どんな仕事ですか。

「リクルートのフリーマガジン『R25』の立ち上げが原体験ですね。R25は60万部までいきましたが、同じだけ売れている男性向け雑誌と、広告単価を同じにはできませんでした。一流企業はフリーマガジンに広告を出さないという常識を覆そうとしていました。そうしたなかで、読者はなぜ記事を読むのか、広告主はなぜ広告を出すのかなどと本質を考える癖がついたと思います」

単なる広告、ブロックされる時代に

――広告やマーケティングは、これからどう変わりますか。

「広告が独立した機能としてある時代は、だんだん終わるんじゃないかと思います。糸井重里さんのような言い方になりますが、商品やサービスそのものに広告やマーケティングが練り込まれる。広告と商品を分けた瞬間に、広告はブロックされます」

「アマゾンダッシュは、ユーザーがわざわざ500円くらい払って商品が描かれたボタンを買います。それをうれしそうに冷蔵庫に貼ったりするんです。この現象を考えたとき、『これも広告だな』と思いました。広告を『ユーザーと新しい接点を持ちながら、なおかつ継続的に商品が売れる状態をつくりだすこと』と定義するなら、まさに広告ですよね」

「ゾゾスーツも21世紀の広告だと思っています。マーケティングとは、どうやって新規の顧客と接点を築くか、既存の顧客とのつながりをどうやって深めるかということです。何のために会社があるのかという存在意義、本質を考えないといけないと思っています」

田端信太郎
1975年石川県生まれ。慶応大経済卒。NTTデータを経て、リクルートでフリーマガジン「R25」の立ち上げに参画。2005年ライブドア入社。コンデナスト・デジタルを経て、12年にNHNジャパン(現LINE)執行役員広告事業グループ長に。18年から現職。

(安田亜紀代)

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