「若者よ貪欲になれ」 豊田氏・孫氏・マツコさん競演

対して豊田社長は「私はずっと3代目と言われて、苦労知らずで会社を潰すと言われ続けた。知らず知らずに、あまり目立ってはいけないと振る舞うようになった。社長就任1年目に(リコール問題で)米国議会に呼ばれた時は社長職としては終わった、やっぱりダメだなと思った」と、一時は弱気になった過去の思いも披露。

しかし、豊田社長は、この問題を乗り越え、トヨタを新車販売で世界トップを競うメーカーとしてもう一段飛躍させた。

小さな夢を大きな志に変える

話題は多岐にわたった

会場には大学生も多く参加していたが、マツコさんは「最近の学生は(大きな)夢や欲がない」と軽く挑発。「(豊田社長や孫会長のように)ここまで来た人たちはそういう先の世界が見えているのよ。社長になりたいとか欲を持つのは決して悪いことではないと思う」とハッパをかけていた。

1990年以降に生まれた、高望みや浪費をしない「さとり世代」と呼ばれる若者をどう思うか問われると、豊田社長は「中高生のころから悟ってほしくないなあ」と一言。孫会長が「僕は全然悟っていないよ」と応じると、マツコさんが「2人は強欲な世代よ。自分がこうありたいってはっきり出してるわね」と突っ込んだ。

夢は何かに話が及ぶと、孫会長は「夢と志は違う。夢はピアノが買いたい、車を買いたいなど個人の願望。志は100万人の願望をかなえたいという気持ちだ」と持論を展開。「きれいごとに聞こえるかもしれないが、18歳の時にマイクロコンピューターのモデルをみて情報革命の到来に感動し、多くの人を幸せにしたいと思った」と述べた。これを受けてマツコさんは「欲って大事で、すぐに大きな志は無理でも、悟らないで小さな夢でもいいから始めて志につなげてほしい」と若者にエールを送った。

高校時代に単身、米国に留学して、帰国後にソフトバンクを起業した孫会長。そして日本一のメーカー、トヨタの御曹司として生まれ育った豊田社長。全く異なる世界を歩んだように思われているが、実は接点がある。

豊田社長は1990年代からインターネットに強い関心を持ち、98年には「ネットで車が売れるのか」と周囲の反対を受けながら、ウェブサイト「ガズー」を立ち上げた。その後、ゼネラル・モーターズ(GM)との米合弁会社で副社長を務めたが、その工場が立地していたのが、くしくもシリコンバレーだった。ひそかに米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏らとも会っていたといわれる。無論当時から孫会長にとってゲイツ氏は「ビル」「マサ」と呼び合う間柄。そのころ、孫会長はトヨタに提携を持ちかけたが、「ソフトバンクって何?」とあえなく断られたという。

20年のときを経てついに握手した2人の巨人。自動車、IT(情報技術)の壁を打ち破る新世界を切り開きそうだ。

(笠原昌人 代慶達也)

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