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外反母趾で履けるパンプス 元OL、思いを起業で形に

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NIKKEI STYLE

日経ウーマンオンライン

女性の「悩み」を解消してくれる商品やサービスは、どのようにして生まれたのでしょうか。その秘密を探るために、話題のアノ商品を手掛けた女性たちに話を聞いてみると、原点には「自分たちが欲しかったモノを企画・開発した」という共通点がありました。「外反母趾(ぼし)」や「幅の広い足」に悩む人のための靴ブランド「TRIBECCA」(トライベッカ)を立ち上げた、西山敦子さんに話を伺いました。

長年の足の痛み「とにかく私にパンプスを履かせて!」

「オシャレに我慢はつきもの」とはいうものの、自分の足に合わないパンプスを履き、痛みを我慢しながら生活することは、女性にとって大きな負担。かといって、オシャレすることを諦めて、履きやすさだけを優先した靴を履くのも、ちょっと違う……。人知れず、こんなジレンマに悩んでいる女性は多いのではないでしょうか。

2018年1月に「トライベッカ」を立ち上げた西山敦子さんも、同じように「足」と「靴」のことで悩み続けてきた女性の一人。彼女自身も「外反母趾」や「幅の広い足」に悩み、自分に合う靴がなくて苦しんできたのだといいます。

「足については、物心がついたときから悩んできました。7歳から14歳までクラシックバレエをやっていたので、足や足の指に、過度に負担がかかっていたのかもしれません。中高生の頃には、既に何を履いても痛くなるという状態でした」

大学生になってからも合う靴はなかなか見つからず、当時の流行には欠かせないアイテムだった「パンプス」となると、履けるものを探すのはさらに難しかったそう。

「もともと幅の広い足だったので、入るパンプス自体が限られていました。運良く入ったとしても、デザインやカラーが気に入るものは、なかなかなくて。その上、どんなパンプスでも歩くと痛みが出てしまうので、常に何かを『我慢』しなければならない状態だったんです」

社会人になると、この問題はますます深刻化。外部との打ち合わせや商談が多い仕事だったこともあり、TPOに合わせてパンプスを履く機会が多かった西山さんの症状は、どんどん悪化していったといいます。

「無理して履き続けた結果、痛みが足だけでなく、膝や股関節、腰にまで及ぶようになってしまって……。何とか痛みを解消しようと、整形外科や鍼灸、整骨など、いろいろな病院を回って、『どうやったら痛みなくパンプスが履けるようになりますか?』と、相談もしました。でも、どこに行っても同じことを言われたんです」

――なぜ、無理をしてまでパンプスを履く必要があるのか?

――パンプスを履くのをやめて、運動靴を履きなさい。

痛みに耐えきれず相談した病院で、こうした言葉をかけられるたびに、西山さんは複雑な気持ちになったといいます。

◆西山さんの《欲しいをカタチに》ストーリー◆
【悩み】
「パンプス履きたい!」 でも「外反母趾や幅広足で、自分に合う靴がない!」

【決意】
「履けるパンプスがないなら自分で作ろう」悩みをモチベーションに転換

【苦労】
会社勤めをしながら、パンプス開発――時間のやりくりの難しさに直面

【「欲しい」が「カタチ」に】
さまざまな人との出会いに恵まれ、発売開始

「痛いなら、履かなければいい。それは正しい答えではあるんですが、私が求めている言葉ではなかったんですよね。スニーカーを履けばラクになるということは、自分でもよく分かっていました。でも、私は『痛いから履かない』という選択をするんじゃなくて、『どうにかして痛みなくパンプスを履けるようになりたい』から、いろんな病院を回って相談していたんです。

だから『履くのをやめなさい』という答えは、私の質問の答えにはなっていないと感じて……。自分の問いに正面から答えてくれる専門家の方になかなか出会えなかったので、最終的には、『誰か私を救って! とにかく私にパンプスを履かせて!』というような、ぶつける先のない憤りを感じるまでになっていました」

何とかして、痛みなくパンプスを履けるようになりたい。

もっとラクに、簡単にパンプスを履きたい。

だったらもう、自分で作ろう。

履けるパンプスがないなら、私が作ろう――。

こうして、長年抱えてきた悩みを行動のモチベーションに変えて、西山さんは「トライベッカ」を立ち上げる決心をしました。

周囲の応援と協力に支えられて、起業準備

パンプスを作ることを決心したとはいえ、靴作りに関しての知識は全くなかったという西山さん。ゼロからのスタートを切るに当たって、不安や戸惑いはなかったのでしょうか。

「もちろん不安はありましたが、信頼している上司や仕事関係者の方に相談すると、皆さん『面白いね。やってみるといいよ』と言ってくださって。『止められるかな……』と思っていたのに、逆に応援してくれて、協力してくれる方まで現れたので、『よし! じゃあやってみよう。一人じゃないなら何とかなるだろう』と思えたんです」

「それに、私はもともと『組織』の中で働くことに対して、ずっと苦手意識がありました。周りに合わせて、必要以上に自分を抑えてしまうので、それが精神的な負担になっていたというか……。だから起業する前から、何となくではあるんですが、『私が幸せに生きていくためには、自分で何かをしたほうがいいんだろうな。そうしないと、どこにいてもずっと苦しいままなんだろうな』と思っていました。

振り返ってみると、自分を抑えて組織で働くことの苦しさと、合わない靴を履き続けることで生じた足の痛みのピークが重なったときに、『起業してパンプスを作ろう』という決心が固まったようにも思います」

働きながらの準備は「時間」と「体力」の勝負

そしていよいよ、パンプスを作るために行動し始めた西山さん。まずは「どうやって靴を作るのか」というところから調べ始め、OEM(相手先ブランドによる生産)を請け負っているメーカーに話を聞きに行ったりしながら、一つひとつ、できることから進めていったそうです。

「本当に運が良かったと思うのですが、アポを取って訪問した会社の担当の方が、たまたま外反母趾と幅広の足で悩んでいる女性だったんです。だから『ぜひ一緒にやってみたい』と言ってくださり、製造を請け負ってもらえることになりました」

運良くOEM先と出合えたことで、パンプス作りは大きく前進。しかし、働きながら起業準備を進めていたこともあり、時間のやりくりには苦労したといいます。

「夜遅くに打ち合わせをしたり、仕事後に急いで待ち合わせ場所に向かったり……。時間的にも体力的にも厳しかったですが、OEM先の協力とサポートのおかげで、何とか乗り切ることができました。

また、トライベッカのパンプスは、インソールに細かなパーツを入れて履き心地を良くしているのですが、このパーツの位置を、工場で正しく配置するのが難しいという問題もありました」

「でもこのインソールは、香川整歩院の香川英樹院長が、解剖学に基づいて独自に設計してくださったものです。決められた位置にパーツを配置しないと、このパンプスを作る意味自体がなくなってしまうので、その点は工場の方々とよく話し合い、誠心誠意お願いをして、品質を確保した上で製造してもらうように交渉しました」

インソールの監修をした香川院長は、西山さんが出会った専門家の中で、初めて「パンプスを履くことを否定しなかった人」なのだそうです。

「香川院長は、『履きたいものを履けばいい。足が痛いなら、私が何とかしましょう』と、私の質問に正面から答えてくれた唯一の先生でした。香川院長の協力がなければパンプスは完成していなかったので、本当に人との出会いに恵まれている、助けられているなと思います」

9月には「足の幅が狭い人」のためのパンプスも

パンプスを作ろうと決意してから、約1年。今年1月に「トライベッカ」を立ち上げてからは、長年足のことで悩んできた女性たちから、「まさか私がパンプスを履けるとは思っていなかった」と、驚きと喜びの声が届いているそうです。

「トライベッカは、『快適であること』『トレンドを押さえていること』『購入可能な価格帯であること』の3つを大切にしています。この3つをバランス良く保ち、規格外の足でもオシャレを楽しめるように、これからもブランドを成長させていきたいと思っています。

9月には、外反母趾や幅広タイプだけでなく、『足の幅が狭い人』のためのパンプスも発売する予定です。その他にも、もっとバリエーションを増やして、ショートブーツやサンダルの発売も検討しています。

スタンダードに合わせなくてもいい。靴に合わせて自分が我慢するのではなく、一人でも多くの女性が自分に合う靴を履けるように、これからもどんどん進んでいこうと思っています」

西山敦子
 大学卒業後、調査会社や広告代理店などを経てメーカーに勤務。その後起業し、エニースタンダードを設立。2018年1月に、「スタンダードな靴」が履きづらい人のための靴ブランド「トライベッカ」をスタート。

(ライター 青野梢、写真 稲垣純也)

[nikkei WOMAN Online 2018年9月4日付記事を再構成]

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