公衆喫煙所は迷惑施設か 分煙策なのに住民から反発も千葉市、海浜幕張駅で実験

千葉市には苦い経験がある。09年に千葉駅前のロータリーに喫煙所をつくろうとしたところ、住民の反対運動にあって頓挫したのだ。「公共的な空間は原則禁煙であるべきで、喫煙所は受動喫煙の被害を及ぼす恐れがある。その維持管理に税金を投じ、喫煙を奨励する必要はない」という内容の陳情が、市議会で採択された。

内部の送風ファン(写真上)で煙の上昇を防ぐとともに、吸気ファン(同下)で外部の裏側に排出する

たばこの煙やにおいに対する住民の拒否反応が強まるなか、千葉市は11年に路上喫煙に過料を科す条例を施行し、違反者を厳しく取り締まってきた。担当者が週4日、定期的に重点地域を巡回。ほかに住民から「吸っている人がいる」と通報を受けるたびに、担当者が現場に急行する。

それでも路上喫煙はなくならない。海浜幕張駅周辺など重点地域4カ所の過料処分はここ3年、合計800~900件と横ばいが続いている。この数字に含まれているもの以外にも、「ふざけるな」「殺すぞ」などと巡回員を脅し、過料を払わずに立ち去る人が後を絶たないという。

いったん頓挫した公衆喫煙所に同市が再び取り組むことにしたのは、こうした路上喫煙の削減につながると考えたためだ。「住民から喫煙所が嫌われているのは事実だが、路上喫煙で効果があがれば納得してもらえるはず」と廃棄物対策課の天野課長補佐は期待する。

当初は想定していなかった事情もある。東京五輪・パラリンピックを契機に加速する屋内禁煙の流れだ。千葉市も従業員を雇う飲食店を原則禁煙とする条例を20年4月に施行する。国の基準より厳しく、東京都とほぼ同水準の内容で、市内の約3200の飲食店の7割が規制対象となる見通しだ。

屋内禁煙で喫煙者は行き場なく

そうなれば喫煙者の行き場は一段と限られる。今でも巡回員が路上喫煙している人に過料を求めると、「どこで吸えばいいんだ」と問い返されるという。周辺の喫茶店などを伝えて納得してもらっているが、新条例でそれらの店まで禁煙になれば、巡回員が説明に窮する場面が出てくるかもしれない。

さらに五輪・パラリンピックの会期中は、海外から多くの観戦客が訪れる。海外では屋内の喫煙に日本より厳しい規制を課す一方、屋外は取り締まっていないケースが多い。もし海浜幕張駅の周辺に公衆喫煙所がなければ、困った外国人客が路上でたばこを吸い始める恐れがある。

「今後2年かけて路上喫煙の削減効果や周囲の粉じん濃度を測定したうえで、継続して設置するか、別の駅に広げるかを考えたい」と千葉市の担当者は話す。20年の五輪・パラリンピックを控えて、東京周辺では今後、喫煙所の開設が相次ぐとみられる。千葉市の試みは、喫煙者との「共存」に向けたモデルケースとなりそうだ。

(オリパラ編集長 高橋圭介)

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