写真はイメージ=PIXTA2018年より休眠預金活用法が施行され、19年からいよいよ休眠口座が発生することになります。また、メガバンクで口座維持手数料が検討されているという報道や、ATM手数料がじわじわと値上がりしている現状などを踏まえると、銀行の活用方法を考える時期にきているといえそうです。日常の買い物でのキャッシュレス化や、銀行の比較的新しいサービスを使いこなすことは、こうした環境において家計を守る手段になるかもしれません。
■ゆうちょ銀行は最後の取引から20年2カ月過ぎると引き出し不可に
2019年1月1日から10年以上取引のない口座(休眠口座)は、民間公益活動への融資などに活用されることになります。預金者は一定の手続きをとれば、払い戻しを受けることはできますが、後述する理由も含め、預貯金口座をいくつも持っている人は口座を整理する機会にしてもよさそうです。
なお、ゆうちょ銀行については民営化(2007年9月30日)以前に預け入れられた郵便貯金は、満期や最後の取引から20年2カ月を経過すると払い戻しもできなくなるため、注意が必要です。
口座を整理したほうがよいと考えるもう一つの理由は、銀行の手数料体系の変化があります。メガバンクを中心に口座維持手数料の徴収が検討されていたり、他の銀行でもATM手数料が引き上げられたり、無料で引き出せる条件が厳しくなったりしています。
これらの手数料は、口座の残高などに応じて手数料が免除されたり、無料で引き出せる回数が付与されたりする傾向にあり、複数の口座に分散してお金を保管するよりも、ある程度まとまった残高を維持するように口座管理をした方が有利になるケースが増えてきそうです。
諸外国の銀行では、口座維持手数料がかからないための、最低預入額が決まっていることが一般的です。
■3カ月以上ATMに行かなければ、手数料がかかる可能性は低い
先日、久しくATMに行っていないなと思い立ち、メインバンクの預金通帳の履歴を確認したら、前回ATMで現金を引き出したのは6月中旬、その前は3月初めでした。この期間は、交流会への参加や、現金払いしかできない鉄道チケットを買うなど、現金を必要とするシーンが比較的あったのですが、それでも3カ月超、ATMでお金を引き出していない計算になります。
私の普段の買い物は、クレジットカードでチャージしたApple Pay(モバイルSuica)か、各種カード払いが主流で、確かにほとんど現金は使いません。旅行などでも可能な限りインターネットで手配してカードで支払うため、ここでも現金の出番は少ないです。今年出かけたマレーシアでは、1円も日本円を現地通貨に換えることなく帰国しました。
このように、日常生活のお金の支払いでキャッシュレス化を進めると、そもそもATMに行く回数を減らすことになり、手数料がかかる可能性を減らすことができます(ただし、手元の現金が残り少なくなったら、早めに手数料がかからない時間帯に行って引き出すことを忘れずに)。
■貯蓄も手数料をかけずに自動化で、やっぱり現金にお目にかからない
家計の大きなお金の流れについても、我が家では夫婦それぞれ決まった金額を生活費用口座や貯蓄用口座などに自動的に移動させて管理・運用しています。夫は給与、私は原稿料などの収入が入るメインの口座から、用途別の口座にお金を動かしていますが、この資金移動には「定額自動入金」を利用しています。
ネット銀行などを中心に提供されている定額自動入金は、他行から自行に対して毎月一定額のお金を入金するサービスで、多くの銀行で手数料を徴収していません。類似のサービスに「定額自動送金」というものがありますが、こちらは、自行から他行に対してお金を送るサービスで、銀行からすると預入残高の流出につながります。そうした背景もあってか、一般的には600円など比較的高めの手数料が設定されています。
定額自動入金で毎月決まったお金が入る口座を、生活費用のクレジットカードの引き落とし口座にしているため、お金を振り分けるところから、払い出すところまで、現金を見るタイミングもほとんどありません。
あとは、皆で食事をしたときの割り勘などのシーンで現金を使う機会を減らせるとうれしいのですが、ここは自分だけキャッシュレスにするのは難しく、個人間送金サービスが広まってくれば、そうしたサービスを使う人も増え、もっと便利になるのではないかと期待しています。
現金に比べてキャッシュレスはコストが低いと表現されることがあります。休眠口座の開始や、銀行手数料の体系の変化といった側面を、家庭生活に落とし込んでみても、やはりそのようにいえそうです。
風呂内亜矢
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。最新刊「ほったらかしでもなぜか貯まる!【なぜたま!】」(主婦の友社)など著書・監修書籍も多数。管理栄養士の資格も持つ。http://www.furouchi.com/
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