サレジオ学院での思い出といえば文化祭です。中学2年生からずっと文化祭の実行委員をやっていて、高校2年生のときに実行委員長をやりました。サレジオはキリスト教の学校で、保守的なカルチャー。学生も比較的おとなしいイメージでした。一方、伝統の世界を出た僕としては、中学校からはより自由に羽ばたいていきたいという思いがありました。それまで抑圧された世界にいた反動もあり、伝統や予定調和を崩したかった。それを文化祭で前例のないことをやって実現させたかったんです。

まず、お化け屋敷が禁止されていたのですが、文化祭を盛り上げる定番コンテンツとして「解禁してください」と先生に交渉しました。「他の高校でもやっています」「安全対策などルールを決めてやれば問題ない」と言って説得しました。歌舞伎界の大人に比べれば、先生に対しても話をするのは難しくありません。

もう一つの集客策がキャラクターの招致です。ちょうど実行委員長だったときに、横浜港が開港150周年を迎えました。サレジオは横浜にあるので、横浜市民に対して知名度の高い開港150周年記念キャラクター「たねまる」を招致しようとしたときに、このキャラクターの出演交渉まで任せてくれた覚えがあります。保守的な文化がある一方で、先生はおおらかな人が多く、生徒が「やりたい!」と思った新しい取り組みに真正面から反対することはありませんでした。

来場者を驚かせる仕掛けとして、階段アートにも挑戦しました。サレジオは学校の門を入るといきなり50段ぐらいの大階段があるんです。ここを使って絵を描いたらインパクトがあるだろうと思いつきました。僕らの代で初めてやったのですが、階段アートはその後も10年以上続いたそうです。自分の手で新しい伝統を作れたことは小さな誇りです。

そして結果的に来場者数はどうだったかというと、鳥インフルエンザが流行していたため、前年比40%減という結果でした。そもそも文化祭を開催するかどうかという議論にもなりましたが、なんとか中止は回避しました。ただ、委員会のメンバーとは「最高の文化祭だったね」と言い合っていたのを覚えています。

(安田亜紀代)

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