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女性活躍・親子の絆 『義母と娘のブルース』にみる今 家族ドラマに歴史あり!(6)

2018/10/16

親子で成長する姿にお茶の間が共感した「義母と娘のブルース」(C)TBS (C)桜沢鈴/ぶんか社

1990年代後半、家族ドラマはしばらく鳴りを潜めるが、21世紀に入ると変化の波が訪れる。猛威を振るった純愛ドラマは沈静化し、主流はお仕事ドラマへ移行していた。視聴世代が年を重ね、関心が恋愛から社会へ移っていたことと無縁ではない。その流れは、再び家族ドラマにも光をともす。

専業主婦の時代は終わり、家庭内でも様々な問題が噴出する。そんな空気を反映した2004年、画期的な家族ドラマが登場する。「僕と彼女と彼女の生きる道」(フジテレビ)である。仕事に一途で家庭を顧みない銀行員の徹朗(草彅剛)はある日、自分の夢や仕事を捨てきれなかった妻から離婚を切り出され、幼い一人娘を残して家から出て行かれる。戸惑う徹朗だが、娘の家庭教師からの助言もあり、次第に父親らしさに目覚めていく。同ドラマがオマージュする元となったのは、1979年の米映画「クレイマー、クレイマー」といわれる。25年を経って、日本でもようやく同じテーマが扱われるようになったのだ。

専業主夫の時代に

「クレイマー、クレイマ」で主演したダスティン・ホフマン氏(左)=1979年(AP)

そして、さらに一歩進んだドラマが「アットホーム・ダッド」(フジテレビ系)。阿部寛演ずる主人公はやり手のCMディレクター。「男は仕事、女は家庭」の古風な考えの持ち主。念願のマイホームを手に入れるが、ひょんなことからリストラされる。一方、専業主婦の妻(篠原涼子)は古巣の出版社から声が掛かり、編集者に復帰して正社員に。かくして夫は望まぬ専業主夫となり、家事や幼稚園の娘の世話に奮闘するというホームコメディーだ。実際、専業主夫が脚光を浴び始めた時期でもあった。当初は家事を軽く見ていたが、その大変さとやりがいに目覚め、妻や娘との絆を深めていく。秀逸だったのは、何気ない家事にいちいち困惑する主人公の描写だ。洗濯機を前に10分近く悩み、水の出し方が分からずインターネットで検索するなど、悪戦苦闘。洗濯一つにそんなにも時間をかけるドラマは、日本のドラマ史上初めてだった。それをマジメな顔で淡々と演じる阿部寛。この手の笑わない喜劇芝居を「ストーン・フェース」という。喜劇王バスター・キートンの代名詞だ。

家族ドラマの歴史をひもといていくと、しばしば話題になるのは、天才子役の存在。古くは、1970年代には坂上忍や杉田かおるが脚光を浴び、1980年代になると吉岡秀隆や中嶋朋子が注目され、1990年代にはえなりかずき、2000年代には美山加恋がお茶の間の人気を博した。

そんな歴代子役たちの中でも、恐らく最高の演技力を持つ子役は、芦田愛菜だろう。

彼女が一躍注目されたのは、2010年の「Mother」(日本テレビ系)。演じたのは、母親に捨てられる小学1年生の役。驚くべきことに7歳の役を、5歳で演じている。オーディションでは応募資格の年齢に達しておらず、不合格になるも、卓越した演技力が認められ、特例で採用されたという。同級生に比べて小さい体に理由をつけるために、育児放棄による栄養失調と脚本が書き直されたそうだ。

育児放棄は当時、社会問題化していたため、母性とは何かを問いかける意欲的な作品となりお茶の間の高い関心を呼んだ。結果オーライだった。

震災後の日本人を癒やした家族ドラマ

天才子役の活躍はこれだけに留まらない。時に2011年4月。前月は未曽有の東日本大震災が発生し、日本中が悲観に暮れている中、一つのドラマが始まる。「マルモのおきて」(フジテレビ系)である。当初は、裏番組に大ヒットドラマの「JIN-仁-」(TBS系)の続編が放送され、全く注目されていなかったものの、回が進むにつれ、人気は右肩上がり。主題歌の「マル・マル・モリ・モリ!」もヒットする。

物語は、阿部サダヲ演ずるアラフォー独身男のサラリーマンが、親友の忘れ形見の幼い双子(芦田愛菜、鈴木福)を引き取るところから始まる。別々の親戚に引き離される2人を案じた措置だった。

当初は、双子のペースに巻き込まれ、仕事との両立もままならない中、様々な問題を乗り越えるうちに、やがて双子と本当の家族になっていくという心温まるストーリーだ。

血はつながっていない親子でも、心を通わせることで信頼関係は築ける。それは「池中玄太80キロ」(日本テレビ系)や「義母と娘のブルース」(TBS系)にも通ずる不変のプロットだ。優れたエンターテインメントは時代を超えて受け継がれるもの。震災孤児の問題がクローズアップされていた時期でもあり、同ドラマに勇気づけられ、癒やされる家族が続出した。ドラマの企画は半年前から立てられるので、放映のタイミングは奇跡というしかなかった。

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