転職すべきなのか、現職にとどまるべきなのか。見極めるコツはあるのだろうか。ベストセラーとなった「転職の思考法」(ダイヤモンド社)の著者で、採用コンサルティングサービスを提供するワンキャリアの執行役員でもある北野唯我氏は「転職に向いているのは、変化を楽しみ、経験をプラスに結び付けられる人材だ」と話す。
市場価値を決める3要素
同調査の「人柄」のマイナス要素で3番目に多かった「仕事のやり方、方針にこだわりがあり柔軟性がない」という項目に注目。「結果的に周囲に責任を転嫁したり、ネガティブな理由での転職を重ねたりすることにつながる。より本質的な要素だ」とみる。
「市場価値のギャップ」についても、自分に足りない要素を具体的に見極める必要性を強調する。「給料の期待値は、技術資産(専門性や経験)、人的資産(人脈)、業界の生産性(一人当たりが稼げる粗利)の3要素で決まる。一概にスキルだけで市場価値が決まるわけではないので、整理して考えてほしい」(北野氏)
整理に当たり、人材紹介会社のコンサルタントを頼るのも一つの方法だ。ただ、コンサルタントに「転職に向かない」「紹介できる案件が少ない」と言われても、他の採用ルートであれば希望の転職がかなう場合も十分にある。
コンサルタントが転職希望者に企業を紹介するいわゆる「エージェント型」のサービスは、紹介実績に応じて人材紹介会社へ成功報酬が支払われるビジネスモデルで、採用企業側にとってはコストがかさむ。「それだけハイスペックな人材を求めるケースが多い」と北野氏は話す。
「『ビジョンはあるが経験を積むのはこれから』『特定のスキルがずば抜けて優れている』といったタイプの人材には、SNSなどを基盤にしたマッチングサービスや、知人の紹介を通じたリファラル採用の方が適している場合もある」(北野氏)
転職をキャリアアップにつなげるためには、「人材」としての自分を見つめ直すこと、そしてさまざまな転職サービスのビジネスモデルも理解した上で使いこなす意識が大切になりそうだ。
(ライター 加藤藍子)