特に、1990~2000年代の「就職氷河期」に新卒で就活をした40代前後では、「売り手市場」をチャンスに、「不本意入社」だった現在の就業先から大手・有名企業への転職を模索する向きも。ただ、規模や環境が変われば当然、ポジションの面でキャリアアップにつながるとは限らない。調査協力したコンサルタントからは「今の会社で課長だからといって、他の会社でも課長になれるわけではない」といった厳しい声も寄せられている。

転職回数は募集段階で「指定」されるケースも

「転職回数の多さ」がネックになると答えた割合も64%と高かった。「何回以上から、転職回数が多いと感じるか」と質問を重ねると、「4回(5社経験)」との回答が半数近く、「3回(4社経験)」も3割程度に上った。「3~4回」がボーダーラインになっているようだ。

業界・職種によっては、短期間で勤務先を変えることは珍しくない。経験値の高さが重宝されることもある。だが、自社に定着する人材を期待する企業の多さを反映してか、コンサルタントからは「数年おきに転職していると、今回入社しても再び退職が考えられる」「募集段階で転職回数を指定してくる企業は多い」という声が集まった。

人柄が転職に向かない人の具体的な例(複数回答可、出典:エン・ジャパン)

面と向かって告げられるとショックな本音もあった。「人柄が転職に向かない」と感じたコンサルタントも4割に上ったのだ。人柄とは、具体的には「他責傾向がある(74%)」「謙虚な姿勢に欠ける(70%)」といったもの。

採用面接などで、過去に所属していた企業や上司の悪口を言うのは一般的にも「ご法度」とされる。だが、自分の実績や長所を強調したいあまり、高圧的な話し方になってしまったり、周囲の環境や人間関係に原因があることをほのめかしてしまったりするケースは多いようだ。

コンサルタントからは「自分にも(転職の)原因があると認めないと、何度転職しても同じ壁にぶつかる」「得意技や分野が絞れていない」という声が上がった。さまざまな状況へ柔軟に適応したり、時には自分から周囲へ働きかけたりして物事を推進していく積極性があるかどうかが、転職の成功を分けるポイントになっているようだ。

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市場価値を決める3要素