ベンチャー三銃士が慕う陶芸家 皆おそろいから脱せよ陶芸家 辻厚成氏(下)

■メキシコへ派遣、「原色」の洗礼

――海外といえば、18歳で日本貿易振興会(現在の日本貿易振興機構=JETRO)からメキシコに派遣されました。

「当時のメキシコ大統領が日本の文化人を招いて、日本の美術を知りたいという意向をお持ちでした。JETROは工業製品の輸出支援を手がけていましたが、『日本文化も紹介しなければ』となり、その若手の第1号として私が選ばれました」

南米の生活では、日本にはなかったカラフルな色使いに影響を受けた

――南米の生活からどのような影響を受けましたか。

「彼らは原色を普段の生活に取り入れてますよね。建築もピンク色やブルーの家があったりしてカラフルです。そういう色使いは当時の日本にはなかったものでした」

「装いも皆さん個性的ですよね。それと不思議に思えたのが、社会的地位によって服装が違うことでした。日本人のように同じような服装をしてない。まちまちなんです。所得というかクラスが違うということが洋服に一目瞭然に出ている。そういうことは日本にはありませんでしたから」

「ちゃんと背広着たりネクタイをしたりしていれば、初めて行ったお店でも、そうしたクラスの人間として扱われましたね。例えば、レストランに行っても入り口近くの末席ではなく、上座のテーブルに案内されました。アメリカもそうでしたけれどメキシコはそれが著しかったですね」

■アトリエに集った「ベンチャー三銃士」

――陶芸家として高い評価を獲得、交友関係はさらに広がります。アトリエには著名なベンチャー経営者も集まりました。

「1995年ごろのことですね。ソフトバンク会長兼社長の孫正義さんやエイチ・アイ・エス会長兼社長の沢田秀雄氏さん、パソナグループ代表の南部靖之さんたちが粘土をこねていました」

「ご存じのように皆さんお金もうけにしか興味がなくて、美術の美にも興味がなかったはずなのですが(笑)。彼らは好奇心旺盛ですから、キャッチ力が優れていたんですね。お誘いしたら『未知だからやってみたい』と、すぐに生徒になってくれました」

「粘土をやると童心に返るものですから、ビジネスのアイデアがいろいろと浮かんできたようです。何かアイデアが浮かぶと『みんな集まれ』と声がかかり、手を休めて密談をするんですよ。週1回のときもありましたし、月1回のときもありました」

「日本のビジネスマンはどうしてみんなおそろいの服装なのでしょうか」と語る
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