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巨匠ヒューイット 世界5都市でバッハ全曲ピアノ演奏

2018/10/13

カナダ出身の世界的ピアニスト、アンジェラ・ヒューイット氏が、バロック期ドイツ最大の作曲家J・S・バッハのすべての鍵盤曲を弾く連続演奏会を進めている。2016~20年に東京を含む世界5都市で各12回ずつ公演し、全作品をそれぞれ完全演奏する。バッハ演奏で現代最高の評価を受ける巨匠の集大成だ。同公演のため来日した彼女にバッハの音楽の魅力と全曲演奏の意義を聞いた。

バッハの鍵盤音楽のすべてを弾くヒューイット氏の連続演奏会は「バッハ・オデッセイ(バッハ遍歴の旅)」。米国のニューヨーク、英国のロンドン、カナダのオタワ、イタリアのフィレンツェ、それに東京の計5都市でそれぞれ12回公演し、いずれの都市でもバッハの鍵盤曲をすべて弾き尽くすという壮大な企画だ。16年から始まり、20年までに5つの都市を舞台にして5回分の全曲演奏を達成する予定だ。

バッハ演奏で世界最高評価を受けるピアニスト

――「バッハ・オデッセイ」の意義は何か。

「(ロンドンにある名門の)ウィグモアホールのディレクターが企画を提案してきた。私はこれまでもバッハの鍵盤音楽の全曲を演奏している。そこで一応の集大成として、全曲公演シリーズを各都市で開いてもいいのではないかと考えた。私ほどバッハの鍵盤音楽の全曲を弾いてきたピアニストは現役と故人を合わせてあまりいない。全曲をまとめて弾くのは素晴らしい経験だ。聴き手にとっても(各都市での)12回の公演で偉大な音楽を鑑賞するのは意義のあることだと思う」

カナダ出身のピアニストでバッハ演奏の大家といえば、グレン・グールド氏(1932~82年)の名が長く筆頭に挙がってきた。この20世紀の巨匠をしのぐほどの名声を獲得し始めたのがヒューイット氏だ。英ハイペリオン・レコードからすでにバッハの全鍵盤曲のCDを出し、15枚組のボックスセット(「フーガの技法」を除く)にもなっている。従来のバッハ像を破壊するほど個性的な演奏を繰り広げたグールド氏。これに対し、ヒューイット氏は即興的なひらめきや華やかな歌謡性を盛り込みながらも、全体として各声部の線の織り成す美しい流れと、確固とした構成感のある正統派の演奏が特徴だ。

カナダの首都オタワの音楽一家に生まれた彼女は3歳からピアノを始め、1985年のトロント国際バッハ・ピアノコンクールで優勝した。2006年に英グラモフォン・アワード「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」、14年に2枚組CD「バッハ:フーガの技法」で日本のレコードアカデミー賞も受賞するなど、世界中で数多くの最高評価を得ている。06年に女王誕生記念大英帝国勲章を受章したバッハ弾きは、今や他の追随を許さない。

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