定年再雇用は長く働けない? 資産減らさない工夫を

日経マネー

もう一つ注意しておきたいのは、どういった退職後の「勤労」を続けるかです。15年に実施したフィデリティ退職・投資教育研究所の調査結果を見てください。いわゆる定年後に働いているかどうかを聞いて、その結果を年齢別に分析したものになります。

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、退職者8000人アンケート、2015年調査

注目したいのは「同じ会社に継続雇用・再雇用」となった人の分布です。60歳で定年となって、同じ会社で継続雇用・再雇用された人の比率は選択肢の中で一番高い38.1%です。しかし年齢が上がっていくと急激に低下し、65歳の時点では13.0%と選択肢の中で最も低くなっています。

確かに同じ会社で継続雇用・再雇用というのは、スタート時点では仕事の内容も人的ネットワークも分かっているため、楽な部分があります。しかしデータが示しているのは、年齢が高まるほどに元の会社には残りにくくなるという事実です。

一方で、違う会社に再雇用された場合には、60歳時点の比率が65歳時点までほぼ変わることがありません。これは、同じ会社に継続雇用・再雇用の場合と違った大きな特徴で、会社を替えて再雇用されると当初は適応するのに苦労するかもしれませんが、一度採用されればその能力が認められたことになり、長く仕事を続けられるものかもしれません。

ちなみに、年齢が上がっていくにつれて比率が高まっていくのが、「何もしていない」人です。全体を見ると、年齢が高くなるにつれて「同じ会社で継続雇用・再雇用」される人が減って、そのまま「何もしていない」人が増えていくということになります。

勤労収入を少しでも長く得られるための工夫や準備も「退職後の生活におけるお金との向き合い方」のポイントになるはずです。

野尻哲史
フィデリティ退職・投資教育研究所所長。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信入社、07年から現職。アンケート結果を基にした資産形成に関する著書や講演多数。

[日経マネー2018年11月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 11月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
注目記事
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし