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データが導くサービスエース 大坂選手も試合中に活用 観客に見せれば試合展開分かりやすく

2018/10/11 日本経済新聞 朝刊

SAPの協力のもと、テニスの大会ではプレーデータの活用が進んでいる(写真はタブレット端末の画面、東京都立川市)

選手の体調管理、作戦会議、ファンサービスなど、スポーツ界でのデータ活用は当たり前の風景となってきた。これまで出遅れていた国際オリンピック委員会(IOC)も世界的なIT企業とパートナー契約を結んだ。2020年東京五輪はビッグデータが本格的に活用される初めての五輪になると言われる。

SAPが開発したプレーデータを見る大坂なおみ選手のコーチのサーシャ・バイン氏(東京都立川市)

9月に東京都内で行われたテニスの東レ・パンパシフィック・オープン決勝で、カロリナ・プリスコバ(チェコ)は大坂なおみ(日清食品)から第1セットを奪うと、コーチを呼んだ。

コーチはタブレット持参でコートへ。WTA(女子テニス協会)がソフトウエア大手SAP(本社ドイツ)と協力して開発した機器で、現在進行中の試合データを表示する。ショットごとに色分けし、打ったコースなどが一目で分かる仕掛けだ。プリスコバは自分のサーブが効いていることを確認。第2セットはより攻撃的になり圧倒した。「サーブがよく自信があった。一度ブレークすれば勝てると思った」と余裕の弁だ。

テニスでは06年に導入されたチャレンジシステムのために「ホークアイ」というカメラが設置され、膨大なデータ収集が可能になった。SAPは15年からWTA主催全試合を分析し、選手、コーチに提供する。

サーブやショットのスピード、リターンやラリー時の立ち位置。「ホークアイ」のデータとスコアが、各ポイント終了20秒後にSAPに送られる。分析結果は15秒ごとに更新。全データはアーカイブ化されて、パソコンなどでも見られる。こちらでは選手同士の比較や、ハードコート限定のデータ抽出も可能。サーブ自慢の選手でも「30―30になり、競ってくるとファーストサーブの確率が落ちブレークチャンスが来やすい」ということも分かる。

■体の負荷を把握、故障予防に活用

「自分で映像を見て分析すると3時間かかる。これなら10分」と大坂のコーチのサーシャ・バイン氏。得られる情報も多いし、選手に厳しいことも伝えやすい。「コーチの意見には同意できないこともあるけれど、データには反発できない」と四大大会3勝のアンゲリク・ケルバー(ドイツ)は苦笑い。今季はデータを参考に、サーブを打つ方向と速度を変えた。年初は22位だった世界ランクは現在3位、ウィンブルドン選手権も制した。

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