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坂本龍一 高校で学生運動、芸大合格したら総スカン 編集委員 小林明

2018/10/12

最近凝っているというエレキギターを手にポーズをとる坂本龍一さん(ニューヨークの個人スタジオで)

ニューヨークを拠点に世界で活躍する音楽家、坂本龍一さんのロングインタビュー。最終回となる3回目は、育った家庭環境のほか、音楽グループ、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の軌跡、左翼運動に明け暮れた学生時代の苦い経験、現在の音楽活動などについて語る(インタビューの初回は「『戦メリ』が僕の人生を変えた」、2回目は「役作り曲作り、『ラストエンペラー』の狂騒」)。

■三島由紀夫『仮面の告白』、編集者の父が発掘・後押し

――どんな家庭環境で育ったんですか。

「父、一亀は戦後の日本文学界の隆盛を支えた編集者でした(旧河出書房『文藝』の元編集長)。家には書籍が山のようにあり、作家の生原稿もあちこちに置いてある。そんな環境で育ちました。父の帰宅は深夜か明け方なので、顔を合わせるのも月1回くらい。思想的にはリベラルですが、出征経験があるので『雨戸を開けろ』『新聞もってこい』などといつも怒ったような軍隊口調で話す。怖くてまともに目を合わせたことがなかったです」

――一亀さんは旧大蔵省の若手エリート官僚だった三島由紀夫に作家になるように勧めたそうですね。

小学生時代、編集者だった父(右)と軽井沢で

「『仮面の告白』を執筆する際、三島さんとそういうやり取りをしていた手紙が家にありました。若い作家の発掘に情熱を燃やしていたようです。椎名麟三さんの『永遠なる序章』、野間宏さんの『真空地帯』、高橋和巳さんの『悲の器』など多くの作品を世に送り出しました。酒に強い九州男児で『バカヤロー』が口癖。バーなどで作家たちに何度も書き直しを命じていたそうです。時には飲み屋で取っ組み合いのケンカもしていたらしい。『坂本家の先祖は隠れキリシタンだった』という話を親戚から聞いたこともあります」

■父母の対照的な性格、完全に半分ずつ受け継ぐ

――母の敬子さんはどんな人でしたか。

「陽気で活発で社交的。父とは対照的な性格でした。音楽や芝居が好きで帽子のデザイナーだった。僕がピアノを始めたのは母の影響です。ちなみに母方の祖父、下村弥一は元東亜国内航空社長、元東京生命専務などを務めた実業家。五高、京大時代は後に首相になる池田勇人と同級で生涯の親友だったそうです。僕が子どもの頃、その祖父から偉人伝などの本を買ってもらった記憶があります。初孫だったので、よくかわいがってもらいました」

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