エンタメ!

立川談笑、らくご「虎の穴」

「何を言うか」より大事なこと 笑点のすごさ 立川吉笑

2018/10/14

「笑点」の大喜利で競演する落語家は関連グッズでも存在感をみせる

皆さんはテレビ番組「笑点」についてどういうイメージをお持ちだろうか。

「面白い」「国民的長寿番組」「高視聴率」「古臭い」「実は立川談志が立ち上げた」「毎週楽しみ」「よく知らない」。色々なイメージがあるに違いないが、世間と落語家との接点として絶大な力を持つ笑点は、落語界の宝の一つといえる。

しかしながら、「笑点って面白い」と思う人が大勢いる一方で、「笑点は古臭いもの」と思っている方が大勢いるのもまた事実だろう。「ベタで古い笑いをやってる番組」というような印象。実は他ならぬ僕自身が、落語家になる前(というか落語家になってしばらくたってからも)そういう印象を持っていた。

1984年生まれの僕は、お笑いコンビ「ダウンタウン」のネタに直撃された世代。それをきっかけにお笑いに興味をもち、漫才・コントとたくさん見ていくうちに、ラーメンズ、バカリズム、バナナマン、笑い飯、東京03、おぎやはぎなど好きな芸人さんが増えていき、ついには自分もやりたいと思うようになった。

そういったお笑いの流れに軽く帰属した(気になっている)人間にとって、笑点の笑いは自分が知っている笑いとはかけ離れており、古臭さがそのまま面白くなく感じることに直結した。ダウンタウンの松本人志さんがチェアマンを務めるバラエティー番組「IPPONグランプリ」のような、発想の飛躍力を競うフリップ大喜利に比べ、笑点スタイルの大喜利はレベルが低いと思い込んでしまっていたのだ。

来なくなったオファー

そんな僕が、いくつかの出来事をきっかけに、今では、やっていることや目指していることが違うだけで、どっちが上か下かじゃないと思うようになった。

落語家になって3年目の頃、若手落語家が4人でフリップ大喜利をやる深夜番組にキャスティングされた。司会が今田耕司さんだったこともあり、僕は息巻いて毎週の収録に臨んでいた。例えばこんなふうに。

Q「『激おこぷんぷん丸』より怒ってください」

A「業務用 激おこぷんぷん丸」

Q「レディ・ガガがまもなく来日。ハードルが上がりまくっている奇抜なファッション、今年はどんな格好で来た?」

A「裸にコシノジュンコをおんぶ」

Q「TPP、何の略?」

A「TTTPPPPP」

つまり、学生時代から影響を受けてきた松本人志型の大喜利をやった。いわゆる落語家らしからぬ解答で、何度も今田さんに笑ってもらうことができた。だが、僕の横では桂宮治兄さんが笑点型の大喜利でそれ以上にドカンと受けていたのだ。

僕の価値観では自分の解答の方が面白く感じるけど、収録現場では宮治兄さんの解答にねじ伏せられることが多々あって、それを思い出してはなかなか眠りにつけない夜が何度もあった。

それから数年たって、今度は「笑点特大号」というBSで放送している番組内の「若手大喜利」コーナーに呼んでもらった。これは笑点メンバーの師匠が司会をされ、若手落語家6人くらいで地上波の笑点大喜利と同じようなことをやるコーナー。

普段の自分とは違うスタイルが求められているのは明らかだったし、僕自身も自分なりに笑点型の大喜利をやろうと意気込んで収録に挑んだ。が、これがとても難しかった。笑点スタイルの大喜利をレベルが低いと決めつけるからには、そんなものは余裕でこなせて当然なのに、全然自分にはできない。それでも何度か収録に呼んでいただいたけど、あるところからぱったりとオファーが来なくなった。完全に自分の力不足が原因だ。

エンタメ! 新着記事

ALL CHANNEL