ダリの遺体も掘り出された 婚外子の死後認知とは弁護士 志賀剛一

「えっ?」と思われる人がいるかもしれません。そうです、被告は検事さんです。原告の住所地または父親の最後の住所を管轄する地方検察庁の検事正が被告になりますが、検察官は何も事情が分かりませんから、裁判では「不知」という答弁になります。

相続人が訴訟に「補助参加」

死後認知の訴えでは、被告は検察官ですが、それ以外に「利害関係人」として父の相続人(被相続人の配偶者や子)に訴訟が係属したことが通知され、相続人が「補助参加」という形態で訴訟に加わることができ、実質的には非嫡出子(であることを主張する者)と正妻・嫡出子の争いになるわけです。

なお、「骨肉の争い」という言葉があります。これは血のつながっている者同士の争いのことですが、認知訴訟は「骨肉の争い」かどうかが争点になります。

最も有効な手段はDNA鑑定

さて、原告が父と血縁関係があることの立証はどうやって行うのでしょうか。現在、この証明に最も有効な手段がDNA鑑定です。父と子の検体を鑑定し、同一と認められればこれが決定的な証拠となり、裁判所もそのまま認知を認めることになります。

問題は父がすでに亡くなっている死後認知の場合です。いささか旧聞に属しますが、1989年に亡くなったスペインの画家サルバドール・ダリの娘と主張する女性が現れ、スペインの裁判所がダリの遺体を掘り出す命令を下し(驚きました!)、遺体の毛髪や歯からDNA鑑定が行われたという事件が昨年ありました(鑑定の結果、親子関係は否定されました)。

異母兄弟姉妹にはDNA鑑定を強制できず

このように、古いものであっても検体があれば鑑定は可能です。しかし、墓を掘り返すならともかく(なお、日本ではこのような命令が出ることはありえません)、例えばただ単に「父の遺髪です」と差し出されても、その毛髪が本当に亡父のものかどうか信頼性に乏しい場合が多いでしょう。その場合、父の遺伝子を承継している別の人、つまり異母兄弟姉妹のDNA鑑定を行えば、ある程度の精度で親子関係の認定が可能といわれています。

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